宇宙ごみ50mまで接近して撮影 民間企業の衛星ADRAS―J

実証衛星「ADRAS―J」が、約50メートルの距離で撮影した宇宙空間を漂うロケットの残骸(アストロスケール提供)

 日本の宇宙企業「アストロスケール」は14日、宇宙ごみ除去技術を確立するための実証衛星「ADRAS―J」(アドラスJ)が、目標のロケット残骸から約50mの距離で撮影した画像を公開した。4月には、この残骸の数百mに接近し、世界初の撮影に成功していた。高速で宇宙空間を漂う宇宙ごみを最も近い距離で定点観測できたという。

 撮影した残骸は日本が2009年に打ち上げたH2Aロケット15号機の第2段部分で、全長約11m直径約4m重さ約3トン。地上約600キロの軌道上を高速で周回している。JAXAの分析では、大きな損傷はなく左右に表面保護用のテープとみられるひも状の物体が確認できた。

 人工衛星やロケットの打ち上げ増加に伴って宇宙ごみは増え続け、運用中の衛星などに衝突する恐れがある。宇宙ごみを除去するためには、位置や見た目の情報が限られる中で安全かつ確実に接近する技術が重要になる。

 4月の撮影では、残骸の表面を覆っていたオレンジ色の断熱材が軌道上で強い紫外線に当たった影響で濃い茶色に変色したことが確認できた。

© 一般社団法人共同通信社