オスが動き回る…石川県内でのクマの目撃情報 交尾期の6月に38件と集中 専門家「山には音の出る物を」

県内で目撃が相次いでいるのがこちら、クマです。
今年に入って12日までに寄せられた目撃情報は87件。
そのうち半数近くが6月に集中しています。
クマに遭遇したとき我々はどう対応したらよいのか取材しました。

記者:
「きょう午前9時半ごろ、住宅街のすぐ近くにある公園でクマ1頭が目撃されました。県内ではクマの出没が相次いでいます」

14日小松市内では2カ所でクマの目撃情報が。
公園にいた人が木の上にいたクマを見かけたということで市は午前中、園内を封鎖しました。
県が発表している目撃痕跡情報。
6月寄せられた38件のうち16件が小松市内での発生です。

県立大学大井徹特任教授:
「5月、6月はクマにとっては特別な時期。交尾期で大人のオスがメスを求めて活発に動き回ります。目撃も多くなる時期です」

大井教授によりますと今の時期は、子どものクマも親元を離れ新しい自分の住処を求めるために移動が盛んになるといいます。

大井特任教授:
「石川県では1978年から2018年の間、約2倍に分布域が広がっている。クマと人と隣り合って生活しているような状態」

記者:
「男性は寺の境内を散歩中にこちらの階段を上った先でクマに襲われたということです」

県内では今年に入って2件の人身被害が発生。
5月には金沢市内で50代の男性が犬の散歩中にクマに襲われました。

船哲夫さん:
「犬は戦闘態勢だったし最初何だろうって思って」
「逃げ場も何も無いし、どうしようもないから戦うしかないんかなと…だから格闘した」「戦った結果がこんな…」
Qやられた跡ですか?「そう」

船哲夫(ふね・てつお)さん。
境内に向かう中腹で休憩しようとしたところクマが茂みから出てきたと言います。

船さん:
「ここからガサガサガサと来ましたよ。ドーっと走ってきました。」
Qどれぐらいの時間で?
船さん:
「5秒無いね。」
Q四つん這いで?
船さん:
「四つん這い。四つん這いで突っ込んできた」

その後、クマは突然立ち上がったと言います。そして…

船さん:
「最初にここやられて。左手で来て払ったら、払ったクマの手が脚にザーッと来て。払った手がすねに来たんだわ」
「それからまた立ち向かってきたし、腹を蹴ったけれども全然関係なく無傷だったし。また立ってきたし目と目があったので、(攻撃するなら)目玉だと思って、目を殴りつけた。それで逃げていった」

顔やすねにケガを負った船さん。何とか命は無事でしたが…

船さん:
「段々痛みが出てきたし、痛み止めの薬とか睡眠薬なども飲んだ。被害翌日より3日後の方が痛かったし仕事休んで病院行った」

クマの被害に遭わないためにはどうしたらいいのでしょうか。

大井特任教授:
「クマを引き寄せないという対策が重要。山の中に入るときには音が出るクマ鈴などを持って入る。クマに人間がここにいるという事を早めに知らせてあげることができればクマが逃げてくれたり隠れたりしてくれる」

また、クマスプレーも効果があるということですがリュックなどに入れてしまうとすぐに取り出せないため注意が必要だということです。

船さん自身はこう振り返ります。

船さん:
「1人じゃなくて2人3人の方が何かあった時に連絡取れるんでその方が良いかなと。俺1人、犬1匹、救急車呼ぼうかなと思ったが、犬いるし呼べない。」
Qワンちゃんがいるからすぐに呼ばなかった?

船さん:
「置いていかなきゃならない」

県は5月、ツキノワグクマ出没注意報を発令し、クマが活動する早朝や夕方は山に入らないことや住宅に近い草むらは刈り取るよう注意を呼びかけています。

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