ソフトバンク育成の弟は二刀流 本格派右腕で抜群の飛距離を誇る福岡・井崎暁志郎 県内屈指の進学校で兄弟の夢に挑む【高校野球福岡大会】

恵まれた体格で長打力も抜群の福岡の井崎

県内有数の進学校・福岡を投打で引っ張る「二刀流」がいる。ソフトバンク育成3年目の井崎燦志郎投手(20)を兄に持つ暁志郎(3年)だ。「夏は兄を超えたいです」。高校の先輩でもある兄は、3年夏に最速149キロの本格派右腕として注目されながら初戦敗退。弟は兄が勝てなかった最後の夏に躍進を期している。

身長178センチ、体重96キロ。高校時代は細身だった兄よりも体格に恵まれている。1年夏の初戦で本塁打を放った打力は早くから注目されていた。学校のグラウンドは外野後方で陸上部、その奥ではサッカー部が練習する。金属バットでの鋭い打球が他の部活の生徒に当たると危険なため、小森裕造監督は普段の練習では木製バットを使わせてきた。

それでも昨秋の紅白戦で中堅方向の校舎を越えて中庭に飛び込む大飛球を放った。今春から飛距離の出ない低反発バットに切り替わったが、木製バットを使い慣れている井崎にとっては「むしろ飛ぶようになった」と好材料になっている。

中学までの投手経験を買われ、昨秋からは投手との「二刀流」となった。投げても兄譲りの速球が最大の武器の本格派だ。球速は140キロに迫り「真っすぐで押していく投球をしたい」。冬の練習で投手の練習を積み、春からは投打の柱として期待されていた。

アクシデントに見舞われたのは、春の福岡大会だった。試合中に右手首近くの有鉤(ゆうこう)骨を骨折。直後の1か月間は地道なトレーニングに励み、5月中旬にようやく投球練習を再開。夏は投打の「二刀流」でチームの力になる覚悟だ。

「投手としても打者としても勝利に貢献できるようにやりきりたい」。地元球団で支配下登録を目指して着々と成長している兄の存在も大きな励み。「家に帰ってきた兄と話すとすごく刺激になるし、学ぶことも多い」。初戦は純真と対戦。兄弟の夢で、同校にとっても春夏通じて初となる甲子園を目指し、高校でのラストサマーがスタートする。(前田泰子)

◆井崎暁志郎(いざき・きょうしろう)2006年9月28日生まれ。福岡市出身。住吉小3年から「東住吉ライオンズ」で野球を始める。住吉中では「福岡中央ボーイズ」で投手と内野手を兼任し打順は4番。高校では1年からベンチ入りし、1年秋からレギュラー。「3番一塁」だった2年夏は4回戦で須恵に敗れた。178㌢、96㌔。右投げ左打ち。

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