緊急避妊薬「飲めて安心した」 群馬・藤岡市で試験販売 8割超「今後も薬局で…」

試験的に薬局で販売されている緊急避妊薬

 望まない妊娠を防ぐ緊急避妊薬を、処方箋なしで薬局で販売する試験事業が始まって半年が経過した。日本薬剤師会によると、群馬県内では藤岡市内の3店舗で扱われ、昨年11月28日~今年1月31日に54件販売。利用した県内の20代女性は「効果のある時間内に服用できて安心した」と打ち明ける。専門家は入手しやすくなることを歓迎する一方、安易に使用されることへの懸念も示す。

 緊急避妊薬(アフターピル) 排卵を遅らせる薬で、性交後72時間以内に服用すると8割の確率で避妊できるとされる。購入には医師の処方箋が必要だが、受診のハードルの高さや、夜間や休日ですぐに受診できないなどの課題があった。試験販売は日本薬剤師会が厚労省の委託を受け、全国145の薬局で実施。2024年度も継続し、今後薬局を増やす方針。

 協力薬局の西須薬局(藤岡市藤岡)には現在も相談の電話が寄せられるといい、担当者は「ニーズはあると感じた」と受け止める。個室で、可能な限り女性の薬剤師が対応、心配事があれば相談を受ける体制を整える。

 日本薬剤師会の報告書によると、購入者の82.2%が今後また服用が必要になった際に「(今回と同様に)医師の診察を受けずに、薬局で薬剤師の面談を受けてから服用したい」と回答。薬剤師の説明やプライバシーへの配慮などへの満足度も高かった。一方、7000~9000円の費用については、満足度が低い傾向にあった。

 性教育活動に取り組むヒルズレディースクリニック(前橋市)の副院長、嶋田亜公子医師は望まない妊娠を防ぐなど、女性の権利や安全を守るため、簡単に入手できる状況が望ましいと指摘する。その上で、性感染症対策がなおざりになったり、同意なく性交されたりする危険性に触れ、「あくまでいざという時のもの。服用が前提になってはいけない」として、事前の避妊方法などの性教育も同時に行う必要があるとした。

© 株式会社上毛新聞社