手作り漬物 出荷に変化は 食衛法改正で基準厳しく 小田原市・箱根町・湯河原町・真鶴町

陳列棚に並ぶ約30種の梅干し=朝ドレファーミ成田店

食品衛生法の改正に伴い、6月から漬物などの加工品を販売するのに保健所の営業許可が必要となった。県西地域の農産物直売所や道の駅では加工品の販売も行われているが、地域の食卓に影響はあるのか調べた。

今回の法改正には、食中毒対策の強化やHACCP(ハサップ)という国際基準に沿った衛生管理等の導入が盛り込まれている。これにより例えば「漬物」などを作っていた人の製造施設が基準に達していない場合には販売ができなくなる。

現場では

小田原市成田の「JAかながわ西湘農産物直売所・朝ドレファーミ成田店」では、個人の加工品納入者はおよそ50人。そのうち、新基準を満たすための改修といった投資が見合うか判断して、5人ほど減少したという。

道の駅「山北」(山北町湯触)は、3件の個人と6〜7件の企業からの加工品を販売している。店舗には4月頃から「販売がなくなる漬物はあるのか」といった問合せがあったという。それでも「事前告知から数年の猶予があったため、個人業者も含め全て営業許可をとっていただき、今までと変わらない品目が販売できています」と担当者は話す。

朝ドレファーミ成田店に代々漬物を納品してきた小田原市穴部の石田トシ子さん。同店が誕生する数十年も前から、地域のイベントなどで手作りの漬物を販売していた。しかし、今回の法改正を受け出荷をやめることにした。

石田さんは自宅の井戸水を使用し、漬け物を製造。今回の法改正により水道水の増設工事と、排水の工事などが必要となる。それなりの投資が必要となるため判断したものだという。

石田さんは「長年、お客様の安心のために、衛生面には特に配慮して製造してきました。お陰さまで固定ファンも数多くいます。残念ですが、国際基準の衛生設備にしなければならないということで、仕方ない部分はあります」と話した。

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