本日6月15日は『スタジオジブリ』の設立日だ。1985年に設立されたスタジオジブリは、宮崎駿監督と高畑勲監督の2名を主軸に数々の名作を生み出してきた。
今や世界に誇る日本のカルチャーといっても過言ではないジブリ作品たち。そこで今回は、ジブリ作品に登場する「ジブリ飯」にスポットライトを当て、今すぐにでも食べたい4品をご紹介しよう。
■謎すぎる見た目なのになぜ美味しそう!? “千尋の両親が食べたぷるぷるの料理”:『千と千尋の神隠し』
「ジブリ飯」のなかでも正体不明だと話題をさらったのが、『千と千尋の神隠し』(2001年公開)に登場する「千尋の両親が食べたぷるぷるの料理」だ。
物語の序盤、不思議な世界に足を踏み入れてしまった一家。何やら不気味な雰囲気が漂うその場所で、両親は美味しそうな匂いにつられていく。
そして、中華料理店のような店にたどり着いた両親は、店員もいないのに目の前の料理を食べはじめてしまうのだ。千尋が止めるのも聞かず、夢中になって食べる両親……。異様な雰囲気を感じるシーンではあるが、両親の食べる様子がなんとも食欲をそそる。
なかでも視聴者が気になったのが、父親がすするように食べていた「ぷるぷるの肉料理」だ。得体の知れない見た目だが、ぷるぷるとジューシー。かろうじて肉料理なのでは?と推測できるものの、食材は不明だ。
この料理は「台湾料理のバーワンなのでは」という声もあったようだが、2020年9月19日に当該シーンの原画を担当した米林宏昌さんが自身のXで「お父さんが食べてるブヨブヨした食べ物はシーラカンスの胃袋」と明かしている。
“生きた化石”として有名なシーラカンス。食べたことのある人物はそうそういないだろう。そんなシーラカンスの胃袋を料理として描いてしまう宮崎監督の感性には驚かされるばかりだ。
■絶妙な焼き加減の目玉焼き! “目玉焼きのせトースト(ラピュタパン)”:『天空の城ラピュタ』
簡単に作れそうなのに、なんとも美味しそうなのが「ジブリ飯」の醍醐味だろう。なかでもとくに簡単なのが、『天空の城ラピュタ』(1986年公開)に登場する「目玉焼きのせトースト」だろう。
飛行石を狙う悪党から逃れるため、地下へ逃げ込んだパズーとシータ。そこでパズーがカバンから取り出したのが、トーストと目玉焼きだった。分厚くカットされたトーストの上に、半分こにした目玉焼きをのせただけものだが、廃坑のなかで仲良く頬張る2人の姿も相まって「食べたい!」というファンが続出した。
真似しやすいメニューなので、“ラピュタパン”として再現するファンも多い。簡単だが、黄身とトーストが絶妙にマッチした味わい深い料理で、満足度が高い一品ではないだろうか。
■流れるような手さばきで作り上げる! “カルシファーのベーコンエッグ”:『ハウルの動く城』
卵つながりだと、『ハウルの動く城』(2004年公開)に登場する「カルシファーのベーコンエッグ」も忘れてはならない。
ハウルの城ではカルシファーの魔力で料理をおこなっているため、ハウルしか料理をすることができない。そんな彼が流れるような手さばきで作ったのが、ベーコンエッグだった。
片手で卵を何個も割り、美味しそうなベーコンを焼いたこの料理。マルクルがかぶりつくのも納得の、魅力的な見た目をしている。
小さなフライパンで器用に料理するハウルもさることながら、個人的には卵のカラをもぐもぐと食べているカルシファーが可愛く、癒されるシーンでもある。
ハウルが作ってくれる朝食という付加要素もあり、ファンから人気の「ジブリ飯」だ。
■力仕事の活力!“パズーの肉団子スープ”:『天空の城ラピュタ』
最後にご紹介するのは、再び『天空の城ラピュタ』から。物語の冒頭シーン、炭鉱で働くパズーが夜食用に購入するのが、「肉団子のスープ」だった。持参したポットを差し出し、「おじさん、肉団子ふたつ入れて」と、注文するパズー。
力仕事で体力が必要な炭鉱の仕事を幼いながらもこなす彼の活力になるであろう、このスープ。ほかほかとおいしそうな見た目で、ファンから「食べてみたい」という声も多い一品だ。
肉団子が入っており、オレンジがかった色のスープからトマトが使われているのではないかと推測されるこの料理。トマトベースのスープとあって、肉団子の入ったミネストローネふうの料理に見える。
一人暮らしのパズーが気軽に買える値段なので、具材はそれほど多くはなさそうだが、店の店主がおたまにひとすくいするこのスープが、パズーの体をあたため癒すのだろう。つくづく宮崎監督はシンプルながら魅力的な料理を描く天才だと思う。
今回ご紹介した「ジブリ飯」以外にも、ジブリ作品には魅力的な料理が登場する。ほかほかとおいしそうな料理の数々。作中で料理について詳しく言及されることはないものの、ファンたちはわずかなヒントから「ジブリ飯」を再現することを楽しんでいるようだ。