ピンチで「スーパーフェードをかける」 渋野日向子の“変化”を象徴するつぶやき

「プラス思考過ぎた」と笑う4アンダー(撮影/亀山泰宏)

◇米国女子◇マイヤーLPGAクラシック for Simply Give 2日目(14日)◇ブライズフィールドCC(ミシガン州)◇6556yd(パー72)

終盤の17番はティショットの落ちどころが右側にきつく傾いている。渋野日向子の1打目は右ラフまで落ちた。ドローヒッターには木が邪魔でグリーンをダイレクトに狙いづらい状況になった。

「スーパーフェードかける」――。渋野のつぶやきに田谷美香子キャディは驚いた。フェードを打てないわけではないが、曲がりが大きくスライスに近い。苦しんでいた時期なら、持ち球で狙えないと分かった時点でレイアップするような場面。「イメージ、湧いてるんだよね」と言いながら素振りをする姿から、ピンチに追い込まれている様子は全く感じられなかったという。

左からの風が少し弱く、左手前のガードバンカーにつかまったが、ポジティブな選択の結果だから引きずることもない。25ydほど距離があるバンカーショットを2m弱に寄せ、しびれるパーパットを真ん中から沈めてみせた。

18番のイーグルパットは「もっと行け!」とばかりに(撮影/亀山泰宏)

スタート前の練習場では“ここ数年で一番”とも言えるボールスピードが出ていた。そのまま1番でドライバーを振りちぎると、「自分でもビックリするくらい飛んでいた」。しっかりクラブを振れている感覚に気を良くして2バーディを先行した。

サンドセーブ率100%。「バンカーに入れても悪いイメージがなかった」(撮影/亀山泰宏)

折り返しの9番でガードバンカーから寄せワンのパーを拾うと、11番(パー3)で喫した初ボギーの後も粘り強い。右のフェアウェイバンカーのアゴ近くに止まった12番は、PWと一瞬迷って握った50度のウェッジで「ちょっとつぶす感じで飛ばしてみる」と言った通りにグリーンを捉え、2パットのパーで切り抜けた。13番(パー3)もニアサイドのバンカーからパーセーブし、14番(パー5)からの2連続バーディにつなげた。

12番のバンカーは「つぶす感じで飛ばしてみる」(撮影/亀山泰宏)

初日22位とはいえ、予選通過が懸かる2日目のプレー。それでも、「すごい前向きになってるから、プラス思考過ぎました」と笑う。「下(カットライン)を見ていないことはないけど、伸ばしたい、伸ばそうって。マインドも(前向きで)全然違う。不安要素が少なくなってきている。きのうもショットがあんまり良くはなかったけど、前に比べたら“メチャクチャわりー”とも思っていないから…」

首位と4打差。「週末を迎えられる喜びはかなりある」(撮影/亀山泰宏)

3UTで2オンに成功した18番(パー5)は長いイーグルパットがラインに乗ってわずかにショート。ギャラリーを沸かせ、難なくバーディで締めくくった。「68」とスコアを伸ばし、首位と4打差の10位で決勝ラウンドを迎える。「やっぱり、週末を迎えられる喜びはかなりある。残り2日、何があるか分からない。上を目指してなんですけど、自分のやるべきこと、最低限のことはしっかりやりたい」。前向きな思考で戦える残り2日、楽しみが膨らむ。(ミシガン州ベルモント/亀山泰宏)

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