なでしこJの若きボランチ谷川萌々子。欧州で躍動、成長著しい19歳が示す未来は明るい【パリ五輪の選ばれし18人】

パリ五輪に挑むなでしこジャパンのメンバーがついに発表された。ここでは12年ぶりのメダル獲得を目ざす日本女子代表の選ばれし18人を紹介。今回はMF谷川萌々子だ。

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JFAアカデミー福島に13期生として入校した谷川萌々子は、中学年代からチャレンジリーグEASTに出場し始め、なでしこリーグ2部を戦った高校1年時からは継続して試合に出場。中盤でゲームをコントロールし、広い視野とミドルレンジの精度の高いパス、そして当たり負けしない球際の強さと決定力も発揮して結果を残していった。

インドで行なわれた2022年のU-17女子ワールドカップでは、グループステージの3試合で1得点ずつを決め、U-17日本女子代表のグループ首位通過に貢献。準々決勝のU-17スペイン女子代表戦は1-2で逆転負けとなったが、谷川はその試合でも1得点を奪い、計4得点で得点ランキング2位に与えられるシルバーブーツ賞を受賞した。

高校3年になるとac福島の10番を背負う一方、2023年夏には古賀塔子とともに女子W杯のトレーニングパートナーに選ばれ、なでしこジャパンに帯同。大会前からなでしこジャパンと同じ宿舎に泊まり、試合は観客席で敗退まで見届けた。

「ボランチなので(長谷川)唯さん(マンチェスター・シティ/イングランド)、(長野)風花さん(リバプール/イングランド)、(林)穂之香さん(ウェストハム/イングランド)のプレーをよく見て、そういった選手からいろんなことを学んでいる」と、研鑽に努めながらチームの練習に参加した谷川は、左右の足から遜色のない高精度のキックを繰り出し、現役のなでしこジャパン選手を驚かせるほどのプレーを見せていた。

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その翌月には狩野倫久監督の下、日本女子代表として、中国で第19回アジア競技大会を戦い、6試合のうち5試合に先発出場。決勝戦の北朝鮮代表戦での得点を含む、5ゴールを挙げて日本の連覇に貢献した。

谷川は2024年8月から9月に行なわれるU-20女子W杯に、U-20日本女子代表として出場する資格もあるが、アジア大会を視察に訪れていた池田太監督は昨年、飛び級で谷川をなでしこジャパンに選出。そして、2023年11月から12月のブラジル遠征でなでしこジャパンデビューを果たした。

ac福島を卒校した後は、ドイツのバイエルンに加入。今シーズンは期限付き移籍でスウェーデンのローゼンゴードでプレーする。背番号10の谷川は、6月15日現在、9試合に出場して10得点。チームの10連勝に貢献して首位に押し上げる要因となっている。

昨夏の女子W杯期間中に「4年後の女子ワールドカップで中心選手になって優勝できるようになりたい。U-20女子ワールドカップで優勝すること、オリンピックに選ばれることも目標」と話していた当時18歳の谷川は、その1年後に見事、パリ五輪メンバーの座を射止めた。

正確なパスや高い得点力もさることながら、近年は守備面でも貢献度が高く、現在も成長過程にある。有言実行の彼女が示す未来は明るいに違いない。

取材・文●馬見新拓郎(フリーライター)

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