苦戦しながら天皇杯の初戦突破。前回大会で悔しさを味わった川崎の山田新、佐々木旭が示す連覇への決意

[天皇杯2回戦]川崎 2-0 ソニー仙台/6月12日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

J1チームが登場する天皇杯2回戦が各地で行なわれ、前回大会王者の川崎は等々力でソニー仙台と対戦し、無事に初戦突破を果たした。

「やはりこの大会は、とにかく上に上がっていくことが重要だと思っていますし、また初戦はいろんな意味で難しさというものがあるなかで、選手はしっかりと、立ち上がりに難しい時間が多くありましたが、それでもしっかりと最後まで締めて戦ってくれたと思います」(鬼木達監督)

「次に進むことが大事だったし、実際に2回戦でJ1のチームが負けている。天皇杯初戦は毎年自分たちも苦労しているなかで、しっかりと勝ち切ることができて良かった」(脇坂泰斗)

ジャイアントキリングを目指し、モチベーション高く臨んできたソニー仙台に対し、攻めあぐねた時間も短くなかったが、38分にFW山田新、58分にFWマルシーニョが決めて3回戦へとコマを進めた。

昨季もリーグで苦戦が続いたなか、シーズン終盤の天皇杯は悪い流れであっても勝ち切る重要性を示し、PK戦までもつれた柏との決勝戦を制して2度目の頂点に立った。

今オフに移籍した登里享平(→C大阪)、山村和也(→横浜)山根視来(→ロサンゼルス・ギャラクシー)ら“先輩”が、今のチームに残してくれた置き土産とも言えるのだろう。

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そんななか、新陳代謝を高める今季の川崎で軸を担うようになっている大卒2年目のFW山田と、大卒3年目のDF佐々木旭は大会連覇へ熱い想いを抱えている。ふたりに共通しているのは、昨季も貴重な戦力でありながら、天皇杯決勝の舞台に立てなかったことだ。

「去年の決勝を見て、先輩たちの姿から感じるものもありました。ただ、去年の時点で自分が出ても力になれていたとの想いがあり、その分、悔しさのほうが大きかったです。去年のなかで一番悔しかった。だからこそ、今回の天皇杯でその借りを返したいとの想いは強いですね」(山田)

「去年の天皇杯の決勝はシンプルに悔しかったです。そこに向けてリハビリをしていましたし、そのなかで再発してしまった。出られない悔しさ、タイトルを獲れた喜びで複雑な想いでした。だからこそ、今年も天皇杯のタイトルを獲りたい。カップ戦は難しいと思いますが、ひとつずつ勝っていく楽しさを感じながら戦っていきたいです」(佐々木)

ふたりの願いは実を結ぶのか。ピッチで川崎の連覇に貢献した時、タイトルとともに大きな喜びを噛みしめるのだろう。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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