上海で国際技術輸出入交易会 先端技術で未来像描く

上海で国際技術輸出入交易会 先端技術で未来像描く

12日、eVTOLメーカーの峰飛航空科技が出展した貨物用ドローン。(上海=新華社記者/周蕊)

 【新華社上海6月15日】中国上海市の上海世博展覧館で14日まで3日間にわたって開かれた「中国(上海)国際技術輸出入交易会」では、実用化に向けた動きが加速する「空飛ぶクルマ」、海洋調査などで幅広く活用できる水中ドローン、高速で移動する製品の外観検査が可能な協働ロボットなど、先端技術を生かした一連の製品が出展された。人型ロボットも会場を行き来し、科学技術が支える未来の姿が垣間見える場となった。

 中国ではここ数年、低空域を活用した「低空経済」関連の新技術に注目が集まっている。今回の交易会にも多くのメーカーが、「空飛ぶクルマ」と呼ばれる電動垂直離着陸機(eVTOL)を携えて参加した。中でも目玉となったのが、峰飛航空科技が出展した最大離陸重量2トン級の貨物用ドローン「V2000CG凱瑞鴎」。同機は3月、中国民用航空華東地区管理局から型式証明を取得し、すでに国内外から200機以上を受注している。

 「空飛ぶタクシー」として活用できる有人eVTOLの実用化も近付いている。峰飛航空科技の謝嘉(しゃ・か)高級副総裁によると、同社が開発した5人乗りeVTOL「盛世竜」は今年初め、広東省の深圳市から珠海市までの海を越えての飛行に成功。所要時間は車を使った場合の2時間半からわずか20分に縮まった。来年開催される大阪・関西万博での実演も予定され、すでに日本の顧客に納入しているという。

上海で国際技術輸出入交易会 先端技術で未来像描く

12日、海外ゲストシティーの大阪市が出展したブース。(上海=新華社記者/周蕊)

 無人機の活躍の場は空だけにはとどまらない。上海市のテック企業、東古智能が出展した水中ロボット「海洋之眼」は、海底光ケーブルの巡回検査、捜索・救助活動、水中考古学などの業務を担える。東南アジアで盛んな水中撮影などニッチな市場にも照準を合わせ、海外進出を加速させている。

 今回は大阪市が海外ゲストシティーとして出展した。市経済戦略局の和田彩理事によると、大阪ブースは「未来社会の実験場」をテーマに、環境やライフサイエンスなどの分野の先端技術を展示した。会期中に開かれた「日本大阪企業技術プロモーション」では、日本企業7社と中国企業20社がマッチングや交流に参加。事前の協議や会場での対面交流を通じ、15件のプロジェクトで協力合意を結んだ。

 同交易会は2013年に初めて開催され、今回を含め30カ国・地域の8500社以上が出展。技術貿易の未来を占う場、取引環境を形成する場として重要な役割を担っている。第10回となる今回は、3万5千平方メートルの会場に世界10カ国・地域と中国19省・自治区・直轄市のイノベーション成果が集結。出展企業は千社近くに上り、各分野のハイテク企業や特色ある企業が一堂に会した。

 上海市商務委員会の朱民(しゅ・みん)主任によると、今回は28社の企業や機関が新製品や新技術を出展、うち11件が世界または全国初公開となった。(記者/周蕊)

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