富永啓生、背中押されたカリーの金言から5年 思い出の地で女子中高生を指導「苦しい時ほど原点に」

契約記念イベントで女子中高生にアドバイスを送った富永啓生【写真:編集部】

カリーブランド契約記念イベント

男子バスケットボール日本代表の富永啓生が、アンダーアーマー日本総代理店の株式会社ドームと1日付でパートナーシップ契約を締結したことが15日、発表された。NBA・ウォリアーズのスーパースター、ステフィン・カリーのシグネチャーブランド「カリーブランド」と契約するアジア人初、世界4人目の選手となる。この日、契約記念イベントが都内で行われ、女子中高生にアドバイスを送った。

黄色い声援で出迎えられた。東洋英和女学院中学部・高等部の体育館で行われた契約記念イベント。カリーブランドのTシャツを身にまとって富永が登場すると、約50人の中高生が「キャー!」と悲鳴を上げた。シューティング中心のクリニックでは、「もっと膝を使って」「フォロースルーを大切に」などとアドバイス。「ナイスシュート!」「完璧!」などとポジティブな声もかけ続けた。

3人の学生とのシュート対決も行われた。富永は3ポイントラインから、生徒はフリースローラインからとされていたが、生徒が「3ポイントラインから打たせてください」と志願。富永も「じゃあ僕はもっと離れたところから打ちます」と応戦した。30秒間で何本決められるかを争い、富永が全勝。センターラインからの“ハーフコートショット”も難なく沈め、シューターとしての貫禄を見せた。

質疑応答で、うまくいかない時のモチベーションの上げ方を問われると「結局、原点に戻れば『バスケットが楽しい』というところ。苦しい時ほど原点に戻るようにしている」と回答。試合でシュートを打つ時は「特に何も考えていない」といい、「練習中にどれだけ試合に近い状況で打てるか、試合に似た状況を作るかが大事」と日頃の準備の大切さを説いた。

2019年6月、同じ体育館でカリーがクリニックを開いた。当時の参加者の1人が富永だった。愛知・桜丘高を卒業後、NJCAA(全米短期大学体育協会)のレンジャー・カレッジへの進学を控えていた時期。憧れのカリーから「辛いことや苦しいことがあっても、自分がやるべきことをやり続ければ結果は出てくる」と金言を送られ、勇気を胸に異国で奮闘。わずか5年で、逆に次世代に夢を与える立場になった。

「カリー選手が自分に伝えてくれたことを、また次の世代につなげていけたら」。2020年に設立された「カリーブランド」にとって、アジア人初、世界4人目の契約選手になった富永。契約記者会見では「これから小さい子どもやバスケットをやっている選手に、機会や希望を与えられる選手になれるよう頑張りたい。ブランドの一員として責任を持ってプレーしていかないといけない」と意気込んだ。

THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro-Muku

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