ピン i530 アイアンを稲場智洋が試打「飛距離性能UPなのにスピンもUP」

見た目はツアー系×性能は飛び系 大谷似な豪快スイングコーチの評価は!?

小ぶりな顔立ちと、それに反した寛容性の高さと飛距離性能を生むピン「i530 アイアン」。ツアーモデルのような形状で所有感を味わえるブレード型でありながら、飛び系と呼ばれる飛距離性能を持ち合わせた「飛び系」×「ツアーアイアン」=“飛び系ツアーアイアン”として注目されている。そんな新時代の飛び系をヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。顔は“控えめな大谷翔平”&スイングは豪快(HS50m/s)なゴルフテックコーチ・稲場智洋の評価は!?

「前作よりフォージド色がアップ より狙って止められるアイアンに」

最初は右に抜ける球が多かったが徐々につかまり出した様子

―率直な印象は?
「打感が前作ほど中空っぽいイメージではなく、鉄の詰まった分厚い当たりに変化していて、好印象を受けました。中空構造はミスヒットしたときのカポーンという独特の打音が苦手でしたが、今作ではフォージド(鍛造)のフィーリングを重視したものに向上しています。特にフェースの左右(ヒールorトウ側)で当たったときの感触が改善され、違和感なくインパクトを迎えられる。中空の飛び系アイアンから、少しシフトチェンジした性能を感じます

前作以上に納得感が得られる「FORGED」の文字

―少しシフトチェンジした性能…?
「はい。以前の飛び系のイメージは、とにかく飛距離性能に特化しているものが多かったのですが、今作は操作性も少し感じられ、しかもスピンの安定感が増しています。どんなミスショットでも芯をとらえたときと同じ4000rpm半ばに収まってくれる。フィーリングの向上もさることながら、実際の弾道でもミスの強さを発揮する計算できる飛び系アイアンに生まれ変わっています」

左がi530、右がi525。どちらも7I(ロフト角27.5度と29度)

―前作「i525 アイアン」と比べると?
「見た目に関しては、前作よりトップラインは薄く、すごくスッキリした形状で、全体のシルエットもコンパクトでターゲットに合わせやすく感じます。もちろん同じ7番で見比べた場合、ロフト角が変化していて(27.5度、i525は29度)、上から見えるフェース面積の違いはあるにせよ、小ぶりなサイズ感はより構えやすい。実際に打った感想は、『i525』よりも球の高さは抑えられ、しかもスピン量がほとんど変わらない。より飛ばせていける+狙い通りに止められる。単に1.5度変化しただけではなく、ヘッド性能の変化をしっかり実感できます」

スピンの再現性を向上させる新溝マイクロマックス・グルーヴ搭載

―スピン量が変わらないのに止めやすい…?
「飛び系としての飛距離性能に焦点を絞ると、ボール初速が上がる半面で低スピンになりやすく、狙った距離より飛んでしまうことが多いのですが、今作は飛距離性能が上がっているのに、スピンが変わらず入ってくれます。スピン量は変わりませんが、飛び性能が増したことで前作より長い距離でもコントロールできる。今まで飛び系を使っていてそろそろ飛びだけでは満足できなくなった人、ちょっとレベルアップしてきてもう一段“先”に向かいたいアスリートゴルファーにお勧めできるモデルです」

優れた耐久性と水分を弾く効果の高いハイドロパールクローム仕上げ

―上の番手、ロングアイアンだけ入れることもアリですか?
「アリだと思います。例えば、ユーティリティやウッドがあまり得意ではなく、アイアンの感覚で距離を出したいゴルファー、ロングアイアンの飛距離で今作の寛容性を持たせたい人は、5・6番だけ『i530』を入れてみる手もアリでしょう。プレーヤーによっては、同じ5番でも『i530』よりロフトが寝ている5番をすでに持っていて、あえて4番ではなく(i530の4番は18度、5番は21度)金谷拓実プロのような“5番2本持ち”のセッティングも視野に入れて選ぶといいと思います」

類似モデルはキャロウェイ『パラダイム Ai スモーク』と筒と同じ例を挙げた

―どのような人向き?
「先ほども言いましたが、今まで飛び系アイアンを使っていて、少し移行していきたいという人向き。しっかりスピンが入ってグリーンで止まるボールを打ちたい人。また、逆に『ブループリント アイアン』や『i230 アイアン』を使っていたけれどちょっと距離が出ない、スピン性能自体は変えたくないけれど、もう少し飛距離を出したい人にも合うと思います。飛び系もツアー系も、どちらの要素も味わいたい幅広いターゲット層に向けたアイアンではないでしょうか」

打感はまだまだなものの(3.5)…飛距離&寛容性は4.5【総合評価4.1点】

【飛距離】4.5
【打 感】3.5
【寛容性】4.5
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.0

・ロフト角:27.5度(7I)
・使用シャフト:NSプロ 950GH neo(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

© 株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン