「心は痛むが…」五輪切符を懸けた天王山に敗れ、涙を流したカナダ主将が意地の1勝に感無量「日本の皆さんからの優しいメッセージに感謝」【ネーションズリーグ】

天国と地獄を味わった福岡に感謝を述べた。

6月15日、女子バレーボールのネーションズリーグ(VNL)予選ラウンド第3週・福岡大会は北九州市の西日本総合展示場で行なわれ、世界ランク10位のカナダが同19位のフランスと激突し、カナダが3-0(25-14、25-18、31-29)のストレート勝利を収め、福岡ラウンドの最終戦を白星で飾り笑顔で締めくくった。

前日は五輪ラスト1枠を懸けたオランダとの直接対決に敗れ、パリ五輪出場の可能性は限りなく小さくなった。試合直後は歓喜で飛び跳ねるオランダ選手を横目に、コート脇に座って顔を覆い悔し涙を流すなど、無念の表情で会場を後にしたカナダチーム。気持ちの切り替えの難しさは想像に難くないが、今ラウンド最終戦のフランス戦でも変わらぬパワフルなバレーを展開した。

日本戦で27得点を挙げ、大逆転勝利の立役者となったキアラ・バンライクが両チーム最多の26得点と大爆発する活躍を見せ、2セットを連取。しかし、第3セットはフランスの驚異的な粘り強さで、デュースにまでもつれる。だがカナダもボールを落とすまいと必死にレシーブでつなぎ、最後はエースが渾身のスパイクを相手コートに叩きつけ、30得点以上も記録した熱戦に終止符を打った。

意地の1勝を掴むと、カナダの選手たちの目からは涙が頬を伝い、チームメイトと健闘を分かち合うかのように熱い抱擁を交わす。白熱した試合に観戦した日本のファンからも、惜しみない拍手が両チームに送られた。
試合後、キャプテンのアレクサ・グレイは海外のバレーボール専門メディア『Volleyball World』の直撃インタビューに対し、パリ切符を掴めなかったことは残念だが、北九州市のファンへ感謝の言葉を送っている。

バンライクとの二枚看板として、日本戦では30得点の猛攻を見せMVP級の活躍を見せた彼女は「心が痛むが、このチームの一員であったことに誇りを持っています。皆さんからの優しいメッセージに感謝しています」と話し、チームの大黒柱として約一週間を過ごした福岡での激闘を振り返った。

場内インタビューでは日本へのリスペクトにも触れ、充実した表情を見せたグレイ。オリンピック出場権獲得は限りなく低い可能性だが、異国の地でかけがえのない仲間と忘れられない時間を過ごした。

構成●THE DIGEST編集部

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