明暗分けた初回 阪神バッテリーは慎重さを欠いた失点と評論家が指摘 ソフトバンクと違い浮き彫りのシーン

 1回、近藤に先制3ランを許すビーズリー(撮影・山口登)

 「ソフトバンク6-2阪神」(15日、みずほペイペイドーム)

 阪神が連敗で再び5割となり、4位に転落した。初回、近本光司外野手を1番に戻した打線は無死二塁を逸機。先発のジェレミー・ビーズリー投手は近藤に9号3ランを許し先制された。デイリースポーツ評論家の岡義朗氏は「慎重さを欠いた失点」と厳しく指摘した。

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 初回が明暗を分けた。両軍、1番打者がヒットで出塁し、盗塁。無死二塁のチャンスを作った。ただ、阪神の場合はカウントの動きを見ながら、ラン&ヒットを絡めつつの盗塁。じっくり時間を掛けて主導権を握っていこうという岡田監督の意図が見えた。

 続く中野も、打者を進めようという意識は伝わったが、引っ張ろうというスイングでバットが上から出てボールの下をたたく形のフライアウト。後続もなくの逸機とはなったものの、この1、2番の並びの方が、相手チームには嫌だろうと感じる。

 一方のソフトバンクは周東が出塁し、即初球盗塁。こちらは作戦というよりは勢いと自信のような野球。このシーンだけでも両チームの違いが浮き彫りになって興味深かった。

 ビーズリーはここから今宮に四球を与え、栗原のバントで1死二、三塁とされた。3番にバントをさせるということは、ソフトバンクベンチがいかに山川、近藤に信頼を置いているか、勢い重視の同チームにとって、2人の活躍がどれほど大きいかということだ。

 山川は三振。2死から、さすがに近藤に申告敬遠というのは回が浅すぎる。カウント2-1と打者有利のところでツーシームがど真ん中に入り、決定的な3ランとなってしまった。

 近藤と勝負する段階で、向こうは「しめしめ」と思っているはずで、であればバッテリーは「ちょっと待てよ」といったん立ち止まる必要があった。あそこからワンバウンドになるようなボール球を続け、振ればもうけもの、四球でもOKだ。近藤が打つことで勢いをつけたいチームだ。結果、続く柳町に痛打されたとしても、傷は浅かったはずだ。

 打線が本調子でない中、こうした慎重さを欠いた失点は勝敗に直結するということを今一度、肝に銘じてほしい。

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