更年期世代が食べるべき 日本の伝統的な発酵食品とは 3つの理由を栄養士が解説

納豆には更年期世代にうれしい栄養成分が(写真はイメージ)【写真:写真AC】

本格的な梅雨入りが例年より遅れている地域が多く、暑かったり、涼しかったり、温度や湿度の変化がつらいと感じる人もいるのでは。そんなときは、食から元気の源を得るのも良いでしょう。「畑の肉」といわれる大豆を原料にした納豆は、健康的な発酵食品として知られています。とくに、更年期世代が摂っておきたい栄養素が豊富です。納豆の栄養や、一緒に摂取したい相性の良い食べ物、調味料について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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更年期をサポートする納豆の栄養成分とは

納豆は、良質な植物性たんぱく質をはじめ栄養豊富な大豆を蒸して納豆菌を作用させた、日本の伝統的な発酵食品です。消化吸収率が高く、低カロリーにもかかわらず、栄養価が高い特徴があります。健康効果の高いさまざまな成分を持つ納豆ですが、更年期世代の女性が食べるべき理由として代表的なものを3つ挙げてみましょう。

1つ目は、大豆イソフラボンです。女性ホルモン(エストロゲン)に似た構造を持ち、体内でエストロゲンと似たような働きをすると考えられています。また、悪玉コレステロールを減らす作用や、骨粗しょう症予防の効果があることもわかっています。

2つ目は、ビタミンKです。骨にカルシウムを定着させ、骨からカルシウムが溶け出すのを抑える働きがあります。エストロゲンが減少し、骨量の減少が加速する更年期世代におすすめです。納豆は、食品のなかでもビタミンKの量が多いことで知られています。

3つ目は、ナットウキナーゼです。納豆ができるまでの過程で生み出される健康成分で、血栓を溶かすことから動脈硬化予防などが期待されています。エストロゲンが減少して、血管の老化が気になる更年期世代にはうれしい栄養成分です。熱に弱いので、加熱せずに食べたほうが良いでしょう。

このほか納豆には、良質たんぱく質をはじめ、エネルギー代謝の補酵素であるビタミンB群、腸内環境の健康を保つ食物繊維、骨や歯を丈夫にするカルシウム、脳の活性化に期待できる大豆レシチンなどが含まれます。

納豆パワーをさらにアップさせる食品とは

納豆にプラスすると、栄養メリットがさらに高まる食品を紹介しましょう。

納豆キムチごはん(写真はイメージ)【写真:写真AC】

○キムチ
同じ発酵食品として、乳酸菌による整腸作用の相乗効果が期待できます。唐辛子やニンニク、ショウガも含まれているので、血行促進や代謝アップ、疲労回復の効果も。

○オクラ
血糖値やコレステロール値の上昇抑制効果があるとされる水溶性食物繊維と、便秘予防に期待できる不溶性食物繊維が豊富です。

○シラス
カルシウムやビタミンDが豊富。骨に定着させるビタミンKを含む納豆と組み合わせることで、骨の健康がパワーアップします。

○トマト
納豆に不足しているビタミンCを多く含みます。栄養バランスが整うだけでなく、彩りも良くなって食欲増進に。そうめんの具や、冷ややっこのトッピングとしても◎。

○食用油
納豆に多く含まれるビタミンKは脂溶性なので、油と一緒に摂ると吸収率がアップ。風味が良いオリーブオイルやゴマ油などが合うでしょう。

納豆の匂いやネバネバ軽減が期待できるパワーアップ食品

○長ネギ
血液サラサラ成分として知られる硫化アリルは、ナットウキナーゼとの相乗効果に期待。ネギの香りには、納豆の独特の匂いを消してくれる効果もあります。

○シソ
ビタミンやミネラルが多く、ビタミンA(βカロテン)、ビタミンB2、カルシウムの含有量は、野菜のなかでもトップクラスです。βカロテンは納豆にはないので、一緒に食べることでバランスが良くなります。シソの香味成分が納豆の匂いを和らげます。

○酢
酢には、納豆が持つ鉄分やカルシウムなどのミネラルの吸収を助ける効果が期待できます。また、酢を加えて混ぜるとフワフワ食感に変わります。とくにネバネバが苦手な方にはおすすめです。

好みの組み合わせを見つけて、毎日の食事に取り入れていきたいですね。

和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。

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