伝統工芸士の中岩さん、大分市で竹細工教室 県内外から熱心な受講者「刺激に」【大分県】

竹磨きの手本を示す中岩孝二さん=大分市の竹中公民館

 【大分】大分市杉原で竹工房「かわせみ」を主宰する中岩孝二さん(47)が月に2回、同市の竹中公民館で竹細工教室を開いている。別府竹細工の伝統工芸士による本格的な指導に、県内外から熱心な受講者が集まっている。

 中岩さんは網代編みの名手渡辺竹清氏に師事。34歳で伝統工芸士に認定され、確かな技術には定評がある。竹細工教室を始めたのは2022年5月。竹細工は道具も多く、竹細工仲間ら多くの人の協力を得て実現した。「竹細工の出来の7、8割は竹ひごなどの材料作りで決まる」と中岩さん。面取りの仕方や、厚み、柔らかさのそろえ方など、基本から丁寧に指導する。

 受講者は新聞広告や口コミ、交流サイト(SNS)で広がり、市内や国東、山口、北九州などから12人が訪れている。雑貨店を営む市内松が丘の都甲哲也さん(57)は「多くのものづくりは技術や機械で発展するが、竹細工はほぼすべてが手作業。そこが最大の魅力です」と笑み。

 下関市から参加している会社員、山田晃子さん(52)は「裏山の竹やぶを何とかしたくて参加した」と、身近な環境問題の解決策として竹細工に取り組むことを考えた。「大分の竹文化に魅せられた。移住したいくらいです」と話す。

 当初から受講している大分市田尻の佐藤彰さん(80)は、網代編みの巾着籠に挑戦中。「鉄から土、今度は竹。ものづくりはそれぞれ難しいけど、難しいから楽しい」。元々が半導体装置のエンジニアで退職後は陶芸を楽しんできた。

 「受講者の皆さんの取り組みには私も刺激を受けています」と中岩さん。毎月第2、4木曜日に開講し、午前と午後の部がある。入会金3千円、受講料は初級コース5千円から。問い合わせは090.4355.0928(中岩さん)まで。

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