生きづらい老後を迎えないために、50代半ばからやっておきたいこと

「マッチョイズム」という言葉を、聞いたことはありますか?

マッチョイズムとは、伝統的な男らしさの規範という考え方です。日本の社会において男性がさまざまな特権を与えられたことで、広まりました。

家庭などの雑事は仕事の妨げであり、力強くパワフルに仕事をし、長時間労働もいとわない。数字を上げることを第一に考え、休暇をとるなんて、許しがたい行為である。人に弱みを見せてはいけない、仕事に自信を持たなくてはならない、疑念も持たず誤りをみとめない。「弱肉強食」で、勝者(男性的)であることが正しいという考えです。

男性が生きづらいと感じる要因は、もしかしたらこんな社会に関係しているかも知れません。とくに、50代半ばで役職定年、定年、再雇用を向かえる人にとっては、この考え方に囚われていると、定年後は「老害」といわれることになってしまうかも知れません。

今回は、「マッチョイズム」と多様な働き方について解説をしてみます。


多様な働き方ができる時代になった

「24時間戦えますか」という言葉が、新語・流行語大賞になったのは1989年。昭和から平成に変わった年です。バブルを経験された方には、懐かしいフレーズだと思います。

しかし、いま「24時間働け!」なんていうとパワハラになりますし、そんな会社は「ブラック企業」といわれます。「働き方改革」を勧めようとしているいま、「24時間働けますか」は死語になっています。

30年以上前には生活の中では仕事が中心だった時代がありました。それから「ワーク・ライフ・バランス」という仕事と生活を両立するという考え方に変わりました。そして、いまの考え方は、生活が中心でその中に仕事がある「ワーク・イン・ライフ」という考え方に変わってきています。それは、多様な働き方を選ぶことができる時代になったということです。

副業が認められるようになってきたし、フリーランスで働くこともできる。リモートワークができるので、在宅での仕事も可能になり、地方に住んでいても同じように仕事ができるようになりました。ワーケーションのようにリゾート地での仕事も可能です。生活を充実させながら仕事やその方法を選ぶことができるようになってきたのです。

「マッチョイズム」に囚われていると定年後の生活を見失う

これからの若い人には、長時間労働ではなく、仕事と生活の両立をうまく取っていこうという動きがあります。それは、短時間労働、副業、リモートワークなどの選択肢が広がってきたからだと思います。また育児休業などの制度もあります。少しずつですが、この多様な働き方の環境が整ってきて、社会の仕事への考え方が変化しているように感じます。

しかし、昭和から働いていた人の中には、仕事が中心の働き方をしてきたので、自分らしい生活を考えることができていない人もいます。

このまま仕事を最優先にして生きていったとしても、その先の50代半ばには役職定年があります。さらに定年を迎えると退職し、そのあと再雇用で働くことになります。そうなったとき仕事ばかりだと、人生にポッカリと穴が開いてしまうことになりかねません。そこから気持ちを切り替えて生活優先で考えても、すぐにはうまく行かないかもしれません。

遅くとも、役職定年のあたりから、仕事と生活のバランスを考え直すようにしておきたいです。さらに再雇用にしても、5年、10年と長く働くことになります。もう仕事中心の生活とはいかないでしょう。生活の中に仕事をうまく組み入れるという考えに切り替えていく必要があります。

昭和の時代の働き方は「マッチョイズム」が当たり前の時代でしたが、平成になって、ワーク・ライフ・バランス(生活と仕事の両立)、令和になってワーク・イン・ライフ(生活の中の仕事)というように、仕事のとらえ方も変化しています。

「自分はこうあるべき」ということに囚われないで、「自分らしい生き方」を、働き方を通して見つけてみてはいかがでしょうか?

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