高さ20m、炎吐き昇天 豊穣、安寧願う 虫と火まつり(青森・五所川原市)

勢いよく炎を吐きながら昇天していく虫人形=15日午後8時28分、五所川原市の岩木川河川敷公園

 五穀豊穣(ほうじょう)や悪疫退散などを祈願する「奥津軽虫と火まつり」(五所川原青年会議所主催)が15日、青森県五所川原市の岩木川河川敷で開かれた。高さ約20メートルの虫人形に火を付ける昇天の儀が今年も行われ、参加者や観客ら約4千人が夜空を焦がす炎に地域の安寧を願った。

 同まつりは虫人形を載せた山車やたいまつ行列が市中心部を練り歩き、河川敷で大虫(虫人形)を燃やしていたが、コロナ禍の2020~22年は関係者だけによる一部実施にとどまった。昨年、河川敷に限ってたいまつ行列と山車運行を復活させ、今年も同じ形式で実施した。

 午後6時半過ぎ。山車や小たいまつを手にした小学生や高校生らが練り歩くと、会場は厳かな雰囲気に。参加団体による囃子(はやし)や繁栄を願う「ヤッサー」のかけ声に合わせ、向かい合った2体の虫人形に火が放たれると勢いよく炎が燃え上がり、昇天していった。

 終了後、石田潤理事長は取材に「地域の皆さんのおかげで、滞りなく終えられた」と語った。同まつりでは市内の神明宮で神事や採火が行われるが、今年3月の火事で拝殿などが焼失。齋藤麻毅宮司は「皆さんの力を借りながら今年もまつりに奉仕することができた」とほっとした表情を浮かべていた。

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