処方箋の有効期限に注意!期限が切れた場合、薬は受け取れない?!対処法を薬剤師が解説

仕事や育児などで忙しい日々が続いていると、「病院で処方箋をもらっても、すぐに調剤薬局に行けない」ということがあるのではないでしょうか。
実は、処方箋には有効期限があり、期限切れになると薬を受け取れません。そのため、事情があってすぐに薬を受け取れないときには、注意が必要です。
今回は、処方箋の有効期限や期限が切れた場合の対処法を薬剤師がご紹介します。

処方箋の有効期限

処方箋の有効期限は、「発行された日を含めて4日以内」、または「医師が別途記載した日」と定められています。(※1)
この4日以内には、土日祝日も含まれています。ゴールデンウイークや年末年始など、調剤薬局が数日間休みになる可能性があるときは、処方箋の有効期限がその間に切れないかの注意が必要です。
有効期限が切れた処方箋は無効となり、薬の受け取りができなくなります。
処方箋の有効期限が切れている場合、調剤薬局から病院に連絡をとって期限を延長することはできません。処方箋は、必ず有効期限内に調剤薬局に持っていきましょう。

処方箋に有効期限が設定されている理由

「処方箋の有効期限が、土日祝も含めて4日以内は短い」と感じる人もいるのではないでしょうか。
処方箋に有効期限が設定されているのは、主に2つの理由があります。
ひとつ目の理由は、「診察を受けてから時間が経つと、必要な薬が変わる可能性がある」ためです。(※2)
医師は、診察時の症状に合わせた薬を処方箋に記載しています。したがって、処方箋の発行日から数日経ち診察時と症状が変わった場合、処方薬が有効かつ安全といえなくなる可能性があるのです。
処方箋に有効期限があるふたつ目の理由は、「薬の種類によっては、症状が出てから早めにのみ始めなければ効果が期待できないことがある」ことがあげられます。
たとえば、インフルエンザに用いられる「抗ウイルス薬」は、発症から48時間以内の使用が基本です。抗ウイルス薬は体内のウイルスの増殖を抑える薬のため、48時間を超えるとウイルスの増殖がすでに終わっており、薬の効果が期待できなくなるのです。
上記のような理由から、処方箋には有効期限が設定されています。症状の早期回復を目指すためには、処方箋を受け取ったら早めに調剤薬局で薬を受け取り、使い始めることが大切です。

処方箋の期限が切れた場合の対処法

前述のとおり、有効期限が切れた処方箋は無効となるため、そのまま調剤薬局に持っていっても薬の受け取りはできません。
処方箋の有効期限が切れた場合は、処方箋の発行を受けた病院に相談して、再診察や処方箋の再発行を受ける必要があります。
ただし、処方箋の再発行時の診察は、一般的には保険が適用されず、全額自己負担になってしまいます。
処方箋の有効期限を切らさないためには、次にご紹介する方法を参考にしてください。

処方箋の有効期限切れを防ぐためのポイント

以下では、処方箋の有効期限切れを防ぐためのポイントを3つご紹介します。

診察時に事前に医師へ相談する

すぐに薬の受け取りができないとわかっている場合、診察時に医師に相談すれば、処方箋の有効期限を延長してくれることがあります。
診察を受けたら、早めに薬を受け取るのが理想です。しかし、連休前や長期の旅行など特別な理由があり、有効期限内に薬の受け取りが難しい場合には、事前に医師に相談してみましょう。

調剤薬局で受付だけでも済ませる

薬の受け取りまでの時間を確保できない場合、処方箋の有効期限内に調剤薬局で受付だけ済ませ、後日薬を受け取る方法もあります。家や職場の近くなど、後日でも行きやすい調剤薬局をあらかじめ見つけておきましょう。
また、スマホアプリを使ったネットでの処方箋の事前受付サービスもおすすめです。
先にスマホアプリで処方箋の写真を送信し、薬が準備できてから処方箋の原本を持って調剤薬局に行くため、待ち時間が短くなります。
注意点として、スマホアプリでの事前受付をした場合、処方箋の有効期限内に原本を調剤薬局に持っていくことが必要です。処方箋の有効期限が切れてしまうと、薬の用意ができていても、受け取れなくなります。

オンライン診療を利用する

薬の郵送サービスのあるオンライン診療を利用し、薬を自宅まで届けてもらうのもひとつの手です。
処方箋は病院から調剤薬局に直接送られるため、処方箋の有効期限を気にする必要がありません。
ただし、オンライン診療のデメリットとして、症状によっては診察できない、処置や検査ができない、手数料や薬の送料など保険外の追加料金がかかることが挙げられます。
処方箋の有効期限が心配なときには、上記のようなオンライン診療のデメリットを理解したうえで、選択肢のひとつにいれておきましょう。

処方箋は必ず有効期限内に調剤薬局へ

忙しい日々を送っていると、なかなか予定どおりに調剤薬局に行けないこともありますよね。しかし、処方箋は有効期限が切れると、再発行の手間や費用がかかってしまいます。
今回ご紹介した処方箋の有効期限を切らさないポイントを参考に、必ず期限内に薬を受け取りましょう。

<参考文献>
※1 厚生労働省「処方箋の使用期間にご留意ください」
※2 総務省「薬の処方せんの使用期間の徒過の防止について(概要)」

PROFILE

あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり

薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師を経て食養生の大切さに気付く。牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニューも開発。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘル-youtubeチャンネルで簡単薬膳レシピ動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」で薬剤師を務める。

●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=211332f2tmhy00010080

●Medical Health CH:https://www.youtube.com/playlist?list=PLha9jt4tT7-xa-y83vBY8Ir-1-FqAYyWj

© 株式会社ベネッセコーポレーション