ポルシェvsトヨタの首位争いは横転クラッシュのSCで仕切り直しに。混戦のまま終盤戦へ/ル・マン決勝18時間後

 フランス、ル・マンのサルト・サーキットで開催されているWEC世界耐久選手権第4戦『ル・マン24時間レース』は現地6月16日(日)の10時(日本時間16日17時)にレースの4分の3が経過した。スタートから18時間時点の首位はポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの6号車ポルシェ963(ケビン・エストーレ/アンドレ・ロッテラー/ローレンス・ファントール組)。TOYOTA GAZOO Racingは、8号車トヨタGR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組)が僅差の2番手、7号車(ホセ-マリア・ロペス/小林可夢偉/ニック・デ・フリース組)は7番手を走行中だ。

 24時間レースの序盤から、度重なる降雨によってドライ路面とウエット路面を繰り返すサルト・サーキット。折り返しの後半戦は、視界を遮る雨によって導入されたセーフティカー(SC)ランが続く。

 雨脚が弱まった明け方、約4時間の走行を終えた3台のSCは各隊列を離れ、現地時間4時11分、レース開始から16時間11分が経過したタイミングで8号車トヨタGR010ハイブリッドを先頭に戦いが再開された。

 気温は13.6度、路面温度は15.3度というコンディションで迎えた折り返しは、平川亮の乗る8号車トヨタを先頭に、6号車ポルシェ963、50号車フェラーリ499Pというトップ3のオーダーとなり、SCラン中のピットインで4番手となった7号車トヨタの後ろには83号車フェラーリ、38号車ポルシェ963、2号車キャデラックVシリーズ.Rらがつけ、計11台が一列でリードラップを争うリスタートとなった。

 トップ3はクリーンな蹴り出しとなった一方、ニック・デ・フリースがドライブする7号車が4番手から緊急ピットイン。長時間のSCランでスクリーンに溜まった汚れ等が深刻な視界不良を引き起こした様子で、すぐさまクルーがウインドウフィルムを剥がし11番手でコースに復帰している。

 小康状態となった明け方のル・マンで首位を走る平川にも、「ワイパーを使わないようにしよう」と無線が飛ぶ。1.883秒差の2番手にローレンス・ファントールが乗る6号車ポルシェが迫るなか、平川は首位を守る好走を見せた。

 残り7時間17分のタイミングには、8号車はライバルらに先立ってピットへ。1周後には6号車ポルシェ、50号車フェラーリと続き、3台はその後も僅差のままでリードラップの戦いを続けていく。

 その後、7時間を切ったころには路面のドライアップが徐々に進み、7番手トヨタがデ・フリースに先陣を切ってソフトタイヤを投入。8号車にスリックを履かせるタイミングを見極める意味もあったと推測できる。

7号車トヨタGR010ハイブリッド(トヨタ・ガズー・レーシング) 2024年WEC第4戦ル・マン24時間

 7号車の好ペースを見た各車は、続々とドライタイヤへの換装を選択。首位8号車と3番手50号車もピットへと向かったが、6号車ポルシェはこの周はスルーと、先頭集団のなかで選択が分かれた。

 その直後、首位を争うポルシェの僚友4号車が先にスリックタイヤへ交換を行ったものの、アウトラップのインディアナポリスでコースオフ、スローゾーンが導入された。

 このスローゾーン導入直前に事故現場を通過した6号車ポルシェはそのままピットへ向かい、スリックへと交換。一方、アウトラップを走る8号車トヨタはこのスローゾーンでタイムロスを喫し、6号車ポルシェの先行を許すこととなった。

 さらにアクシデントは続き、ダニエル・マンチネリが乗る27号車アストンマーティン・バンテージAMR LMGT3(ハート・オブ・レーシングチーム)がインディアナポリスでコントロールを失い、タイヤバリアに接触して横転。即座に、3度目のSCが導入された。マンチネリはすぐにマシンから降り、自らの足取りで安全な場所へと移動している。

 このSCラン中、3番手につけていた7号車はピットインを行って小林可夢偉へとドライバーを交代して7番手で隊列に合流。18時間経過時点での首位は6号車ポルシェ、次いで8号車トヨタ。以降もSCランは続き、その後は各クラスで続々とピットインが行われている。

 LMP2クラスは、雨上がりのリスタートからクラストップを守り続けている183号車オレカ07・ギブソン(AFコルセ)が依然リード。2番手には22号車オレカ07・ギブソン(ユナイテッド・オートスポーツ)がつけ、3番手は10号車オレカ07・ギブソン(ベクター・スポーツ)が続いている。宮田莉朋が乗り込む37号車は同じリードラップを争うクラス4番手を走行中だ。

 LMGT3クラスは、クラストップ91号車ポルシェ911 GT3 R LMGT3(マンタイEMA)のすぐ後ろに付けていた僚友92号車がマシントラブルによってガレージイン。その後、スリックタイヤへの交換タイミングで順位を上げた85号車ランボルギーニ・ウラカンLMGT3エボ2(アイアン・デイムス)がクラストップに浮上し、2番手には59号車マクラーレン720S LMGT3エボ(ユナイテッド・オートスポーツ)、3番手には木村武史が乗る87号車レクサスRC F LMGT3(アコーディスASPチーム)が続いている。

 この他の日本勢は、佐藤万璃音と濱口弘の95号車マクラーレン720S LMGT3エボ(ユナイテッド・オートスポーツ)は6番手、星野敏組777号車アストンマーティン(Dステーション・レーシング)が12番手、小泉洋史組82号車シボレー・コルベットZ06 GT3.R(TFスポーツ)は14番手を走行している。

 いよいよ迎える24時間レースのチェッカーフラッグは、現地時間17日16時(日本時間17日23時)に振られる予定だ。

8号車トヨタGR010ハイブリッド(トヨタ・ガズー・レーシング) 2024年WEC第4戦ル・マン24時間

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