「本物のチームは金メダル獲りに集中」VNL予選敗退のセルビア、母国メディアが報じた日本戦ストレート負けの真相は?【ネーションズリーグ】

福岡・北九州市で女子の予選3週目が開催中のバレーボールネーションズリーグ(VNL)。6月15日に行われた第3戦で、世界ランク7位の日本代表が同8位セルビアと対戦し、セットカウント3-0(25-22、25-18、25-15)でストレート勝利を収めた。通算成績を8勝3敗とした日本は予選最終戦を待たずに、6月20日からタイ・バンコクで始まる決勝ラウンドへの進出を決めている。

日本は、直近のカナダ戦で苦杯を嘗めるも、世界ランク枠の条件(アジア・オセアニア大陸1位、もしくはアフリカ大陸枠と出場確定7カ国を除いた上位3位内)をクリアして、パリ五輪行きが決定。女子として6大会連続の出場にセルビア戦の快勝で華を添えた。

だが、直近の五輪2大会連続で表彰台に上がったセルビアは、1カ月後に迫る大舞台へ向けて異なるアプローチを試みていた。リオ大会銀メダルの後、2022年に就任して東京五輪での銅メダル獲得と世界選手権2連覇を果たしたイタリア出身のダニエレ・サンタレッリ監督が1年で退任。5年にわたり率いたトルコ代表を同胞に託す形で入れ替わったジョヴァンニ・グイデッティ新監督の下、昨秋の予選ですでに五輪出場を決めた。パリでの使命である“同国初の金メダル”へ向けて、VNLではランキング下降のリスクを考慮の上、中心メンバーの調整を重視。日本戦を含む3週目は若い選手を招集してチームをアシスタントコーチに任せ、主力陣と監督は国内で悲願達成への準備に取り掛かっている。

確定した予選敗退(11位)も構想通りだったかは測りかねるが、五輪への熱量は並々ではない様子で、元同国営メディアが運営するニュースサイト『ノヴォスティ』は、「五輪へ向け、若手で編成されたチームが後方支援」、「本物のチームは金メダル獲りに集中」と報道。アシスタントコーチのサイム・パカン氏は試合後、「オランダとフランスには、敗れはしたがそれぞれ1セットを取って脅威になれた。けれど、日本と対等に戦うにはあまりに力不足だった」とコメントしている。

福岡で決勝ラウンド進出を決めた日本は今夜、五輪メンバー12名で最終週を戦う世界ランク5位の米国と激突する。東京五輪の金メダリストは、現在6勝5敗で予選ラウンド暫定9位。予選を通過するには、日本に勝利して7位オランダを勝点もしくは得失セット率で上回ることが絶対条件だ。第3戦でイタリアに1-3で敗れた後、リベロのジャスティン・ウォン-オランテスは、「日本戦で勝利を取り戻す準備はできている」と意欲を示している。

日本代表が強敵を倒して、母国で有終の美を飾れるか? 注目の一戦が間もなくスタートする。

構成●THE DIGEST編集部

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