ウインブルドンが去り行くマリーのために“花道”を用意。ただし現役続行ならば「彼の決定に従う」と計画修正も<SMASH>

最高峰の四大大会で3度の優勝を誇り、通算46個のツアータイトルを獲得している男子テニス元世界ランク1位のアンディ・マリー(イギリス/現97位)。深刻な臀部のケガと闘いながら活躍を続けてきたが、今季は出場大会でほとんど結果を残せておらず、2月には今夏での現役引退を示唆していた。これに伴い、彼の母国で約2週間後に開幕を迎える「ウインブルドン」(7月1日~14日/イギリス・ロンドン/芝)もマリーが同大会で最後の花道を飾るための準備を整えているという。

先の全仏オープンで初戦敗退を喫したマリーは、芝シーズン初戦として今週の「ボス・オープン」(6月10日~16日/ドイツ・シュツットガルト/ATP250)に出場。しかし現地11日に行なわれた1回戦でマルコス・ギロン(アメリカ/54位)に3-6、4-6のストレートで敗れ、早々に大会から姿を消した。

次戦は「シンチ選手権」(6月17日~23日/イギリス・ロンドン/ATP500)に本戦ワイルドカード(主催者推薦)で出場予定のマリー。海外メディア『tennishead』によると、現状ではその翌週の「ロスシー国際」(6月24日~29日/イギリス・ロンドン/ATP250)も補欠選手のリストに彼の名前が掲載されているという。また芝シーズンの最高峰となるウインブルドンにはシングルスに加え、兄のジェイミー・マリーとのペアでダブルスにも参戦する見込みだ。
そのウインブルドンがマリーのキャリア最後の舞台となる可能性があることを踏まえ、同大会の最高経営責任者を務めるサリー・ボルトン氏は「確かに(マリーに別れを告げるための)計画は整っており、準備も万端だ」とコメント。ただしそれはあくまでもマリーの動向次第だとしてこう続けた。

「結局はアンディ本人が決めることだ。我々は彼の決定に従い、それに応じて計画を修正することができる。我々はアンディのチームメンバーと話し合うつもりだが、柔軟な計画を練っている。(繰り返しになるが)アンディの状況に従うことになるため、計画の詳細についてはおそらくこれ以上は共有しないだろう」

長年愛用していたラケットを「HEAD」から「YONEX」に変更するなど現役続行の意志も随所に感じられるマリー。そういう意味でもボルトン氏の「我々は彼の決定に従う」という言葉は理にかなっていると言える。願わくはウインブルドン後もプレーを続けてほしいものだが…果たして最終的にマリーはどのような決断を下すのだろうか。

文●中村光佑

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