新紙幣発行まであと半月、事業者の対応急ピッチ レジや券売機更新 「間に合わない」の声も 青森県内

ラーメン店の券売機を点検する小田桐さん。新札対応に向けた部品交換を待つ=13日、青森市

 7月3日の新紙幣発行まで、あと半月余り。青森県内のさまざまな事業者が、現金を扱う機器の新紙幣対応を急ピッチで進めている。レジや券売機を更新するシステム業者などは繁忙期に入っており月末に向けピークを迎えるが、飲食店や駐車場運営会社などからは新紙幣対応が遅れていたり、間に合わない-といった声も聞かれている。

 レジやタッチパネル式券売機のシステム保守を手がける寺岡システム(本社仙台市)は5月から、県内の取引先を回って新紙幣に対応したプログラムの更新に取りかかった。スーパーやドラッグストア、飲食店、医療機関など150社の端末1500台ほどの更新を請け負っている。

 しかし、月内に終えられるのは8~9割程度の見込みで、残りの作業は新紙幣発行日以降も継続する。同社の香川智宏・青森営業所長は「新紙幣がどのくらいのスピードで流通していくかは読めないが、7月中には更新作業を終わらせたい」と話した。

 県内を中心に50カ所以上のコインパーキングを管理運営する青森市の企業は、メーカーの準備が整っていないため、新紙幣発行日までに精算機の対応が間に合わない-との見通しを示す。

 このため当面は精算機などに「新紙幣未対応」のシールを貼って周知する予定で、同社の担当者は「できるだけ早く済ませたいが、紙幣の読み取り装置の改修、精算機そのものの交換など駐車場によってさまざまな作業がある。年内に改修を完了できれば」と語った。

 青森市のラーメン店「丸海鳴海」は、券売機の紙幣を読み取る部品の交換を18日に予定している。担当業者に相談したところ、注文が相次いで手が回らない-とされ、想定したよりも10日ほど待つことになった。

 店主の小田桐あかりさんは「新しいお札の発行に何とか間に合いそうで安心している」と口にする。同店は部品交換で10万円弱の負担で済みそうだが、券売機本体を交換するのに1台100万円ほどかかる同業者もいるという。

 青森銀行、みちのく銀行は3月までに、ATMや両替機、窓口で行員が扱う端末などを更新した。県内営業店では新紙幣発行日の翌7月4日から順次、店頭での取り扱いを始めるが、市中への流通は一定期間かかるとみられる。

 しばらくは新紙幣に未対応の自動販売機や券売機が多いとの見通しから、両行は旧紙幣の在庫も十分に確保する。青銀青森現金センターの櫻庭勝センター長は「新紙幣も旧紙幣もお客さまの要望に応えられるよう、万全の準備をする」と話している。

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