【香港】ウルトラマンが飲茶とコラボ[サービス] 日港の「伝統文化」、異色タッグ

ウルトラマンと怪獣たちが来店。ウルトラマンの横でポーズを取っている男性が創業者の蔡さん=14日、湾仔(NNA撮影)

域外からの観光客も多く訪れる香港の広東料理店で14日、ウルトラマンと飲茶のコラボレーションフェアが始まった。円谷プロダクションへの熱烈なラブコールで企画を実現した香港側は、異色のコラボを香港と日本の「伝統文化」同士の融合と位置づける。ウルトラマンや怪獣たちをテーマにしたおいしい点心を味わってもらい、ウルトラマンのブランド力を借りて域内外に香港点心の魅力を発信したいとの思いがある。【取材・蘇子善、文責・福地大介】

香港島・湾仔の「瀾之茶居」で年内いっぱい開催する。月~金の午後2時半~10時、土日祝日は午前11時半~午後10時を「ウルトラマンアワー」として、「ウルトラマンのチャーシューまん」「バルタン星人のかに爪揚げ」「ベムスターのクリスピーチキン」などのメニューを提供する。

瀾之茶居は「茶居」や「茶楼」と呼ばれる伝統的な飲茶の店を模したレトロな内装と、昔ながらの香港式広東料理で知られる人気店。「玩具街」の別名がある太原街に立地し、地元住民だけでなく域外からの観光客も多く訪れる。

円谷プロによると、香港の飲食店でのウルトラマン企画はこれまでにもあったが、点心をメインに据えた中華料理とのコラボは今回が初めて。ウルトラマンが大好きという瀾之茶居の創業者、蔡レイ沢(ダニー・チョイ、レイ=さんずいに豊)さんからの強いアプローチで実現した。

ウルトラマンは世界各地で放映されており、香港にも世代を超えて熱烈なファンが多い。「ウルトラマンは日本の『国宝』だと思っている。香港でも何十年も愛され続けてきた」とウルトラマン愛を語る蔡さん。一方で香港の点心もまた昔から伝承されてきた「香港の宝」だとして、二つの「宝」を結びつけたかったと企画の意図を説明した。

ウルトラマンと怪獣たちにちなんだメニューが並ぶ=14日、湾仔(NNA撮影)

蔡さんは子ども時代に両親に連れていってもらった茶楼の文化と、香港の伝統的な点心を次代に継承していきたいとの思いが強い。地元住民も観光客も訪れる太原街の地の利を背景に、世界中で人気が高いウルトラマンの要素を取り入れることで香港の点心文化をより広めることができると考えている。

「おいしい点心を食べてもらってお客さんを笑顔にすることは、ウルトラマンの正義とも通じる」

■ANICHIにもウルトラマン登場

円谷プロは13日、九龍地区・九龍湾の商業施設「メガ・ボックス」にある日本アニメグッズの専門店街「ANICHI(動漫一番街=アニメ一番街)」でウルトラマンのイベント「ウルトラマン・ザ・ヒーロー・プレミア 2024 イン・ホンコン」を開始した。

ウルトラマンの最新テレビシリーズ「ウルトラマンアーク」の放送が7月13日から香港地上波のViuTVで始まることや、「ウルトラマンゼロ」が15周年を迎えたこと、ウルトラマンシリーズのトレーディングカードゲーム「ウルトラマン・カードゲーム」が香港でも今夏に発売されることなどを記念したイベント。10月16日まで開催する。

会場では、ネットフリックスで14日に世界配信されたCGアニメーション長編映画「Ultraman:Rising(ウルトラマン:ライジング)」に登場するウルトラマンの高さ2.6メートルの像や、香港初公開となるウルトラマンの撮影用スーツなどを展示。ポップアップストア、カードゲーム体験などを組み合わせた盛りだくさんの内容となっている。高さ4メートルにもなるウルトラマンゼロの像もメガ・ボックスの施設内に設置された。

円谷プロは今回、香港だけでなくマレーシアやインドネシア、タイ、台湾、ベトナムでも同様のイベントを開催する。一連のツアーを通じ、海外市場のさらなる拡大を目指したい考えだ。

イベントでお披露目されたウルトラマンアーク=13日、九龍湾(NNA撮影)

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