「モドリッチとの年齢差21歳307日」16歳でのEUROデビュー戦で活躍したヤマルに多方面から賛辞! “史上最年少出場記録”以外に樹立可能な記録は!?【EURO2024】

現地時間6月15日に行なわれたEURO2024のグループリーグ第1節で、スペイン代表はクロアチア代表を3-0の大差で下すという好スタートを切っている。

大会2日目にして迎えた強豪同士の一戦は、29分にファビアン・ルイスのスルーパスで抜け出したアルバロ・モラタがGKドミニク・リバコビッチの牙城を崩してスペインが先制すると、32分、今度はファビアン自らペナルティーエリア内で見事な足技で複数のDFをかわしてからゴール。さらに前半アディショナルタイムにはダニエル・カルバハルが右クロスをダイレクトで合わせて加点した。

カルバハルの3点目はスペイン代表のEUROにおける最年長ゴール(32歳156日)とのことだが、これを右サイドから柔らかく正確なクロスでアシストしたのが、16歳338日で史上最年少出場の新記録を樹立したラミネ・ヤマルだった。
前回大会(コロナ禍で1年遅れの2021年に開催)のグループリーグ・スペイン戦に17歳246日で出場したポーランドのカツペル・コズラウスキーの記録を更新した右ウイングは、「夢のようだ。EUROでプレーできて嬉しい」と喜びを表わしながらも、「今はもう次の試合に向けて気持ちを切り替えている」と浮かれることなく、「チームが一丸となってプレーしようとしていて、僕はそんなチームを助けるためにここにいる。守備も含めて、どんな役割も果たしたい」と意気込みを示している。

「僕らのチームはとても効率的で、今日の結果はここ数か月の努力の証だと思う」と振り返った16歳に対し、ルイス・デ・ラ・フエンテ監督は「彼は様々な記録を破り続けている。成長し、成熟し、日々良くなっている。偉大な選手になる道を歩んでいるが、まだ若く、我々は辛抱強く彼を見守り続けることが必要だ」と語った。

自国の日刊紙『El Pais』は、「ラ・ロハ(スペイン代表の愛称)がルカ・モドリッチ率いるクロアチアを破り、ヤマルが86分間プレーしたこの日のことを、スペインのファンたちの記憶から消すのは難しいだろう。スペインの勝利は記憶に残るものだったが、バルセロナの真珠の存在は、よりインパクトを残した」と報じた他、モドリッチとの年齢差「21歳307日」にも言及し、「EUROでの対戦においてこれほどの年齢差があったのは初めてだ」と綴っている。 また、バルセロナのスポーツ紙『MUNDO DEPORTIVO』も、もちろんヤマルの活躍に注目し、「ラ・ロハのEURO初戦でも素晴らしいプレーを見せ、クロアチア守備陣にとっては悪夢となり、さらにカルバハルによるチーム3点目の場面では絶妙なアシストを決めた」と、そのプレーを振り返った。

国外メディアでは、英国の公共放送『BBC』が「この巧みなウインガーは年齢を感じさせず、クロアチアの守備陣を次々とかわして、スペインが存在感を示すのに貢献した」と称賛。また、同じバルサのレジェンドであるリオネル・メッシの「なんて簡単にプレーしているのだろう!」というWhatsAppでの賛辞を紹介しながら、このスーパースターを比較対象にし、「将来のバロンドール受賞者?」と、その輝かしいであろう未来に期待を寄せている。

米国のスポーツ専門チャンネル『ESPN』は、「カルバハルがヤマルの素晴らしいクロスから決めたゴールは、スペインの若さと経験、スピードとコントロール、技術力とパワーの融合を象徴するものだった」と指摘し、「カルバハルは同大会でのスペインの最年長ゴールスコアラーとなり、ヤマルは最年少出場選手。そして、バルサとレアル・マドリーの選手が連係してゴールを決めたのは、EUROでは史上2度目のことだ」と紹介した。
また同メディアは、バルサですでにラ・リーガでの最年少先発出場記録および得点記録、さらにチャンピオンズリーグ・ノックアウトステージにおける最年少出場記録を樹立した16歳が、この初のメジャーイベントにおいて、今後もさらに記録を生み続ける可能性があるという。

ゴールを決めれば、スイスのヨハン・フォンランテン(2004年大会/18歳141日)を抜いて最年少得点者となる他、もし決勝戦の舞台に立つことがあれば、ポルトガルのレナト・サンチェス(2016年/18歳328日)の記録を更新することになる。ちなみにヤマルは、決勝(7月14日)の前日に17歳になる。

そのプレーでも、記録でも注目を集めることになるモロッコと赤道ギニアにルーツを持つスペイン人FW。ドイツで新たな歴史的スターが誕生することになるのか、その動向から目を離すことはできない。

構成●THE DIGEST編集部

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