脳血管疾患と糖尿病、死亡率全国ワースト4位 本県の改善進まず

 厚生労働省が公表した2023年人口動態統計(概数)によると、本県の死因別死亡率(人口10万人当たりの死亡数)のうち、脳血管疾患と糖尿病の死亡率は都道府県別でともにワースト4位だった。脳血管疾患と並んで三大生活習慣病と呼ばれる心疾患はワースト13位、がんもワースト14位と低迷。糖尿病、心疾患、がんはそれぞれ前年より順位が一つずつ改善したものの、脳血管疾患は前年と変わらないなど、高止まりの傾向は続いており、県民の「健康長寿」の実現に向けたより効果的な取り組みが急務となっている。

 本県の死因別死亡率(人口10万人当たり)は【表】の通り。がんが356.4人(前年比8.5人減)と最も多く、高血圧性を除く心疾患が233.6人(同2.2人増)、脳血管疾患は127.1人(同3.1人減)、糖尿病は19.1人(同0.3人増)だった。全ての死亡数に占める割合は、がんが22.7%、心疾患が14.9%となった。

 一部で施策効果か

 県によると例年、死因のうち、がんは気管・気管支・肺、心疾患は心不全、脳血管疾患は脳梗塞の占める割合が高く、23年も同じ傾向とみられる。23年の死亡数は前年比120人増の2万7514人。人口千人当たりの死亡率は前年比0.3人増の15.7人で、全国順位はワースト12位となり、前年より一つ悪かった。

 県は、がんと脳血管疾患の死亡率が低下した要因について、これまで進めてきた生活習慣の改善施策の一部で効果があったためではないかと推定する。ただ、各項目で全国順位が低迷している状況は依然として変わっておらず、県は「県民に根付いている生活習慣をさらに少しずつ変えることが必要だ」(健康づくり推進課)と分析している。

 県は本年度、生活習慣病の改善に向け、全国と比べて高い割合を示しているメタボリック症候群や食塩摂取率、喫煙率などの課題改善を重点に、県民の健康づくりに取り組む方針だ。働き盛り世代への働きかけを強める施策に力を入れる。

 AI活用受診促す

 糖尿病の重症化を防ぐため、人工知能(AI)を活用し、糖尿病治療を中断している人の理由を分析、受診を促すモデル事業にも既に着手した。県は「生活習慣病を予防するには、若い時から生活習慣を見直す必要がある。効果的に施策を進めたい」としている。

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