研究成果、古里の力に 繊毛虫の放射線耐性発見で特別表彰

繊毛虫のストレス耐性の研究で高専機構理事長特別表彰を受賞した箱崎さん

 福島大共生システム理工学類3年の箱崎惇太朗さん(福島高専卒)は、高専時代に取り組んだ土壌繊毛虫(せんもうちゅう)の一種「コルポーダ・ククルス」のストレス耐性の研究で、高専機構理事長特別表彰を受けた。受賞の栄誉に「驚きが大きかったが、今までやってきたことが客観的に認められた気がして、うれしい」と語った。

 箱崎さんは高専2年生の時から4年間かけて研究した。凍結や高温など多様な環境下での耐性を調べ、その一つとして放射線に耐性があることが分かった。この種は厳しい環境下で活動を停止して無代謝状態になると考えられていたが、研究では代謝の痕跡が確認され「新しい生命現象の形が明らかになった」という。

 箱崎さんは「生物が相手なので、再現性を取るのが難しく、結論を得るまでには、手順や条件を変えて何度も実験をやり直した」と振り返る。

 いわき市出身で、幼少から図鑑を好み、虫や魚の名前を言い当てるのが得意だったという箱崎さん。大学でも生物学を学んでおり、分類学者になるのが目標だという。「研究成果を何かの形で古里に生かすことができれば」と夢を描く。

 特別表彰は、全国51の国立高専の5万人を超える学生の中から推薦され、高専理事長賞を受けた人の中で特に顕著な業績を収めた学生に贈られる。箱崎さんの研究成果は国際学術誌に論文として掲載された。

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