女優生活25年 釈由美子の現在地 癒やし系、悪女、ゴジラ…「おいきなさい!」はスベりました

25年の歩みを振り返った釈

女優・釈由美子(46)が、自身にとって海外出演作品2作目となる米映画「Ike Boys イケボーイズ」(公開中)で、主人公の命運を握るキーパーソン役を演じている。今年で女優デビュー25年目。「癒やし系」「悪女」「マンホール女優」など…さまざまな表情を見せてきた釈の現在地とは――。

本作は、日本の特撮とアニメが好きなオタク高校生らが、日本のアニメDVDを見たことで不思議な力を身につけ、世界の危機を救うというストーリー。主演映画「ゴジラ×メカゴジラ」(2002年)で釈の大ファンだったエリック・マキーバー監督から熱烈な出演オファーを受けた。

「監督と初めてお会いしたときに、バッグから『ゴジラ×メカゴジラ』のDVDを出して、『(釈が演じた)家城茜と仕事をするのが夢でした』っておっしゃっていただいて、すごく感動しました。私の原点である作品が海外の監督に見ていただいて、今回の縁につながったことは感慨深いものがありましたね。ゴジラには感謝しかないです」

短大時代の1997年、グラビアアイドルとしてキャリアをスタートさせ、99年にドラマ、01年には映画デビュー。“癒やし系”のイメージを持たれることもあれば、ドラマ「松本清張 黒革の手帖」(04年)で演じた“悪女”のイメージが世間に浸透したこともあった。

「戦略を練ってキャラクターを作ったわけではなく、その時その時の自分でいようと。バラエティーで天然系と言われたのも自分の一部分ですし、それが独り歩きして『面白いこと言ってね』と言われると、全然面白くないのに申し訳ないな…と悩んだときもありましたね。悪女も演じるというよりも私の闇の部分を引き出していただいただけ。今では自分とのギャップも楽しめる余裕が出てきたかなと思います。20代のころは、私には悪女(役)しか来ないのかなと悩んだ時期もありましたけど」

15年に結婚し、現在は8歳の小学生の息子を育てる母親としても奮闘中。かつては演じた役をプライベートに引きずっていた時期もあったというが、「役をちゃんと現場に置いていくようになりました。役の抜けないお母さんのままでいたら、子供もビビっちゃいますからね」と笑った。

ただ、18~19年に放送された「仮面ライダージオウ」(テレビ朝日系)で、マンホールのふたで戦う敵役として出演したことで定着した「マンホール女優」という肩書を、息子の教育に生かすこともあるという。

「現場ではノリノリで楽しくやってたんですけど、その姿を見た息子が怖がっちゃって。あ、これは使えるなと思って、子供を怒るときは『マンホールのふた、投げるからね!』と応用したりしています(笑い)」

今後の女優活動については“自然体”を強調した。

「自分の努力も大事ですが、需要があっての世界。なかったらしょうがないかなと吹っ切れているというか。今回の作品みたいに過去の作品がつながったものは真摯に応えていきたい。それだけです。ただ、欲をあえて言わせていただくと、舞台経験が少ない。生のお芝居は難しいなと毎回反省のしっぱなしで落ち込むんですけど、それも勉強なので舞台経験を増やしていけたら」

釈といえば、03年の主演ドラマ「スカイハイ」(テレ朝系)で、ドスの利いた決めゼリフ「おいきなさい」や指さしの決めポーズも当時はやったが…。

「最近のイベントでサービス精神で『おいきなさい!』と言ったんですけど、知らない世代の方が多くて静まり返ってしまって…。“おいきなさい”の安売りはしない方がいいなと思いました(笑い)」

名ゼリフはリクエストがあった時の限定披露になりそうだ。

☆しゃく・ゆみこ 1978年6月12日生まれ、東京都出身。2001年、「修羅雪姫」で映画初主演を飾ったほか、02年「ゴジラ×メカゴジラ」など話題作に多数出演。ドラマは「スカイハイ」シリーズ(03、04年)や「7人の女弁護士」(06、08年)などで主演を務めた。出演映画「カミノフデ ~怪獣たちのいる島~」(7月26日公開)が控える。

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