セを蹴散らした楽天・今江敏晃監督の「崖っぷち采配」…球団設立20周年で交流戦初V!

鈴木大地が右越え2ラン(C)共同通信社

杜の都が歓喜に包まれた。

16日、楽天が広島に勝利し、交流戦初優勝。ゲームセットの時点では12勝5敗で同率首位だったソフトバンクの試合が終わってなかったこともあってか、お立ち台で4番の鈴木大地が「ホークスもタイガースも一生懸命プレーしている。静かに速報を見て、みんなで喜べたらいい」と話す場面もあった。

交流戦直前まで、楽天は18勝26敗1分け、借金8の5位。5月21日からのソフトバンク2連戦では計33失点で連続ゼロ封負けを喫し、球界では「西武の松井監督に続いて、今江敏晃監督(40)も休養するかもしれない」と囁かれていた。

それが、セ相手に13勝5敗で借金を完済し、4位に浮上した。

評論家の川崎憲次郎氏は「投打がかみ合うようになったのが大きい」と、こう続ける。

「リーグ戦では走者をためてもホームまで遠く、あるいは点を取っても投手陣が踏ん張れない展開が少なくなかった。今の楽天はリリーフの好投が全体の流れをつくっている印象です。もちろん、交流戦3勝の早川と藤井、2勝の内と先発も活躍しているが、ともに無失点の鈴木翔、渡辺翔ら中継ぎの奮闘が非常に大きい。交流戦前の救援防御率は3点台後半でしたが、交流戦に限れば1点台ですからね」

打線も6月1日から鈴木が4番に座ったことが大きいという。

「鈴木自身、過去に4番を打ったこともあり、打順による重圧はないでしょう。さらに一発のある浅村とフランコを5番以降に置くことで、『つなぎの4番』としての鈴木の存在がより生きている。投手は一発のある打者が何よりも嫌。彼らの前に走者を出すまいと、鈴木と勝負せざるを得ないシチュエーションをつくっている。今江監督はじめ、首脳陣のベンチワークでしょう。交流戦前と後で、ナインの顔ぶれはほとんど変わってない。負けが込んでいた楽天にとって、セ相手の交流戦は気分転換にもなったはず。リーグ戦再開後も期待できますよ」(川崎氏)

優勝決定後は「球団創設20周年の年に交流戦初優勝。歴史に名を残せるというか、非常にうれしい」と笑顔を見せた今江監督。5月21日にソフトバンクに0-21の大敗を喫したチームは、もうどこにもない。青年監督の振るタクトが、パの台風の目になるか。

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