女子中学生殺害28年 遺族らが現場で祈る 関係者「事件を風化させない」 沖縄・国頭

遺体発見現場を清掃し、観音像に手を合わせる参加者ら=16日、国頭村内

 1996年6月、名護市で帰宅中だった女子中学生=当時(15)=が拉致され、殺害された事件から21日で28年を迎える。国頭村内の遺体発見現場に建立された観音像で16日午前、遺族や青少年育成ボランティア団体「子ども達を守る会・花」、警察関係者ら約40人が周囲を清掃し、手を合わせた。

 現場は国頭村内の国道から数キロ入った林道で、当時は警察や住民らが一丸となって捜索活動に当たった。子ども達を守る会・花が寄付を募り、観音像を建て、管理している。同会会長の宮里文博さん(74)は「遺族は、ひとときも忘れることはできずにいる。絶対に犯人を許せない。このような悲惨の事件を、もう起こさせてはいけない」と語った。

 警察からは、名護署の高島久典副署長ら署員、捜査に携わった県警OB、県警本部、沖縄被害者支援ゆいセンターの職員らが参加した。事件当時は石川署に所属し、捜索に当たったという、名護署地域課の高嶺剛警部補(60)は、今年で定年を迎える。警察官の職務に就く中で、一番心を痛めた事件だったといい「助けることができず、今も悔やんでいる。この事件を風化させてはいけない」と話した。 

(池田哲平)

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