【ガーデニング】育てて楽しいハーブ【ラヴェンダー】の栽培方法と活用アイデア2選

「ハーブは暮らしに役立ててこそ、楽しい!」と話すのは、長年にわたってハーブを育て、その利用法を研究してきた桐原春子さん。本連載では、毎回1種類のハーブを取り上げ、栽培方法や活用方法、歴史などを教えていただきます。今回は【ラヴェンダー】です。

本連載の他、桐原春子さんの記事は↓↓

みんなに愛されるハーブ【ラヴェンダー】

素晴らしい香りで、多くの人に愛されるラヴェンダー。クラフトやブーケに使えば、
指先にまでよい香りが移るようで幸せな気分に。

花もきれいでガーデニングにも最適です。

科名/シソ科
性質/常緑小低木
樹高/30~50㎝

心身に安らぎをもたらす素敵な香り

花や茎葉に強い芳香成分をもつラヴェンダー。香りには鎮静・鎮痛作用があるとされ、採取した精油は日用品、化粧品、アロマセラピーなど幅広い分野で利用されています。

「食用や浴用として使えるのはコモンラヴェンダー(イングリッシュラヴェンダー)で、オイルやビネガー、はちみつに花穂を漬け込んで香りを移します。ティーにも使えますが、香りが強いのでほんの少量にするか、ミントなどと混ぜて使うといいでしょう。花粒を入れたアイスキューブはさわやかで夏におすすめ。頭痛のときには精油を首筋に塗ったりもします」と、桐原春子さんからは利用法が次々に飛び出してきます。

ラヴェンダーは花も葉も非常に美しく、桐原さんはブーケやクラフトなど日々の暮らしを彩るアイテムにもフル活用しているそう。

「ポプリ、押し花、染色、キャンドル、コラージュなど、楽しみは無限に広がります。これらはコモンラヴェンダー以外の種類でも大丈夫ですし、ラヴェンダーは乾燥しても香りが強く残るので、ドライでも十分に楽しめます」

日本の高温多湿な気候は苦手

メリットの多いラヴェンダーですが、栽培するには少し工夫が必要。

「地中海沿岸が原産で乾燥した気候を好み、南仏などでは乾燥した山の小石まじりの土地でよく育ちます。なので高温多湿の日本の夏は苦手。植えるには日当たりと風通しのよい、乾燥した小高い場所を用意しましょう。無理なら、鉢植えにして適所を移動させながら育てるのがおすすめです。花後は軽く刈り込んで蒸れを防ぎ、晩秋にも株を強めに丸くカットして形を整えます」

コモンラヴェンダーが代表種

もうすぐ満開のコモンラヴェンダーを鉢植えに。

コモンラヴェンダー(下の写真では一番左)の他にも多くの種類があり、花穂の上にリボンのような苞葉をもつフレンチラヴェンダー(ストエカス系。下の写真の真ん中の2種)や、繊細な風情のレースラヴェンダー(プロテストエカス系。下の写真の一番右)も人気です。

活用アイデア① 4種のラヴェンダーのタッジーマッジー

タッジーマッジーとは小さなハーブの花束のこと。

左はストエカス系の ‘キューレッド’ と ‘ビオレッタ’ を10本くらいずつ束ね、周囲はレースラヴェンダーで動きを出しました。

中央はたくさんのコモンラヴェンダーをワイヤとリボンで束ね、茎を切りそろえて水を張った皿に立てたもの。

右はコウシンバラをコモンラヴェンダーとミントで囲み、外側に ‘キューレッド’ と ‘ビオレッタ’ を。

どれもよく水揚げし、バランスよく作ります。

活用アイデア② ラヴェンダーファン

茎を広げてファン(扇)のように形作るラヴェンダーファン。

左下はラヴェンダーを花の下で結わえ、茎を広げながら紫色のリボンを9段ほど交互にくぐらせ、上に虹色のリボンを通したもの。

その上には別の枝を通し、両脇をリボンで結びました。

3色の花形ファンは、3本のラヴェンダーを中央で結わえて上下の茎を広げ、リボンを交互にくぐらせたものを3つ作って合わせて留め、枝先に小粒の水晶を接着剤でつけました。

安全ピンをつければブローチとしても使えます。

作り方(吊り下がっている紫のリボンの作品)

❶ラヴェンダー6本を20cm長さに切り、葉をていねいに取り除く。

❷ラヴェンダーを束ねて、花の2cm下あたりをリボン(0.3cm幅×70cm)の端で結び、茎を扇状に広げる。

❸茎にリボンを横糸のように交互にくぐらせ、端までいったら折り返す。これを16段繰り返し、編み終わったリボンを、接着剤で裏側に留める。

❹茎の残った部分を3本ずつに分けて三つ編みをし、編み終わりを重ねて地巻きワイヤで結ぶ。束ねた部分やリボンの巻き終わり部分に、好みでリボンの飾りをつける。

撮影/川部米応

※この記事は「ゆうゆう」2021年7月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

※2023年10月1日に配信した記事を再編集しています。


監修者
園芸研究家 桐原春子

英国ハーブソサエティー終身会員。長年、自宅でさまざまな植物を育て、家庭での実用的かつ美しい庭づくりを提唱。国内外の多くの庭を訪れ、ハーブの歴史、育て方、利用法を研究。カルチャースクールでハーブ教室の講師を務める。『知識ゼロからの食べる庭づくり』(幻冬舎)など著書多数。ブログ「桐原春子のハーブダイヤリー」やインスタグラムでも情報を発信中。

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