6月15日から16日にかけてフランス、ル・マンのサルト・サーキットで行われた『第92回ル・マン24時間レース』。2024年シーズンのWEC世界耐久選手権に新設されたLMGT3クラスは、マンタイEMAの91号車ポルシェ911 GT3 R LMGT3(ヤセル・シャヒン/モーリス・シューリング/リヒャルト・リエツ組)がクラス優勝を飾った。
2位には31号車BMW M4 LMGT3(チームWRT)、3位には88号車フォード・マスタングLMGT3(プロトン・コンペティション)が続くトップ3となり、3メーカーが表彰台を分け合う接戦となったLMGT3クラス。
マンタイEMAの2台のポルシェがレースをリードし続ける展開で折り返しを迎えた24時間レースは、4時間のセーフティカー(SC)ランがあった夜明けころ、92号車ポルシェ911 GT3 R LMGT3(マンタイ・ピュアレクシング)がギアボックストラブルによりガレージにマシンを収めて戦線離脱したあたりから終盤戦が始まった。
僚友のかわりに91号車がトップに立つと、31号車BMWが順位を上げてマンタイ・ポルシェの主なライバルとなった。
ベルギーのチームが走らせる31号車BMWは、名手アウグスト・ファーフスが、シルバーランクのシューリングがドライブする92号車ポルシェを抜いてクラストップに立つ。
31号車にポジションを譲った91号車は、18年連続でル・マンでポルシェを走らせてきた大ベテランのリーツにステアリングを託し、雨が降り出した残り2時間時点でショーン・ゲラエルの乗る31号車に追いついてオーバーテイク。首位を奪い返すと状況は逆転した。
その後2台の差は、雨が強まった最終スティントになると徐々に広がっていき、91号車ポルシェのリエツがリードを守り切ってトップチェッカーを受けた。
リエツの乗る91号車ポルシェは、最終的な差を51.038秒に広げ、チェッカータイミングの関係もあって2位の31号車BMWよりも1周多くサルト・サーキットを駆け抜けた。
ポルシェにとってこの勝利は、リエツもラインナップに名を連ねていた2022年のGTEプロクラスでの勝利以来のル・マン制覇となった。
ポルシェのファクトリードライバーとして18年間連続でル・マン24時間レースを走り、GTマシンを使うクラスで自身5度目の勝利を飾ったリエツは、「ポルシェが僕をル・マンに送り込んでくれて、ドライブすることができるというのはとても光栄なことだ」とSportscar365に語った。
「2007年からポルシェに乗ってル・マン24時間レースを戦ってきたが、毎年がハイライトのようなものだった」
雨が断続的に降り続く難レースとなった今年のレースについては、「今回の僕たちは本当に幸運に恵まれていたと思う」と、コンディションを味方につけることができたと振り返る。
「チームメイトのふたりにとって今回のル・マンは初挑戦となったが、僕は前にも似たような状況を戦ったことがあったんだ。それがチームにとっても幸運なことだったし、ふたりもいい走りをしたからとても誇りに思うよ」
「もちろんレースは簡単じゃなかった。とくにタイヤ選択は本当にシビアで難しかった。それでも、チームはつねに万全な状態に準備を整えていてくれたので、とても助かったよ」
「コースの情報に関しては僕に一任してくれていたし、チームがくれた多くの情報のおかげで、スリックタイヤでウエットを走るような状況になっても落ち着いて対処することができた」
「それが最後には、ウエットタイヤで着実に生き残る戦いに繋がったんだ」
ポルシェのGTカーとともに幾度となくル・マン24時間を制してきたリエツは、今回も優勝請負人としてチームに参加し、自身のドライブで首位に立って伝統の24時間レースを制した。最後に彼は、「マンタイは最高のチームだよ」と締めくくった。
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