【独自解説】経済フォーラムにプーチン大統領の娘2人が登場!娘が医学を学んだのは父親を死なせないため?ロシアで進む特権階級の組織化 将来は北方領土が観光地に?

【深堀解説】プーチン大統領の後継者候補!?突然表舞台に登場した2人の娘に世界が衝撃…その人物像とは?そしてその先に見えてきた、プーチン大統領の恐るべき野望を、ロシア研究の第一人者が激白【動画で見る】

先日、ロシアで行われたプーチン大統領“肝いり”の経済イベントに、まさかの大統領の「娘」2人が登場し、世界中に衝撃が走りました。このタイミングで「娘」を公開したワケとは?謎だらけの“プーチンファミリー”その素顔にロシア情勢に詳しい筑波大学名誉教授の中村逸郎氏が迫ります。

プーチン大統領“肝いり”の経済フォーラム 「ロシアは世界第4位の経済大国」発言は経済破綻への焦り?

プーチン大統領の出身地、サンクトペテルブルグで、大統領“肝いり”の経済イベント「国際経済フォーラム」が開催されました。「フォーラム」の事務局長によりますと、139の国と地域から約2万1300人が参加したとのことです。このフォーラムは以前からほぼ毎年開催されていて、ウクライナ侵攻後は欧米の制裁に対抗するため、中国などの友好国との連携強化を狙って開催されています。過去には安倍元首相も参加しました。

(筑波大学名誉教授 中村逸郎氏)

「ウラジオストックでも毎年9月に経済フォーラムが行われていますが、今回のものは主にヨーロッパ向けに行われているフォーラムです」

プーチン大統領は、ロシアのGDPが日本を超えて「世界第4位」になったと主張した上で、「友好国との貿易額は増えている。ロシアの貿易額の4分の3を(制裁に加わっていない)友好国が占める」と発言しました。

Q.いつロシアは日本を超えてGDP世界第4位になったんですか?

(中村氏)

「信じられないですよ。実は逆で、ロシア経済は国家財政破綻の危機にあるんです。2024年末~2025年初めにかけて非常に深刻な状況になります。なんといっても戦争をしていますから、歳出が増えて、歳入が減っています。なぜ歳入が減っているかというと、ガスプロムという天然ガスの会社がヨーロッパに送っていたパイプラインがほとんど止まってしまっていて、国家の歳入の20%を占めていたそのガスプロムが2023年の12月に2兆600億円という非常に大きな赤字を出してしまいました」

Q.ロシアのガスや石油は中国が買い叩いているのですよね?

(中村氏)

「中国は、今の国際価格の46%引き、約半額で買っています。それだけではなく、中国とロシアのパイプラインは1本しかないので、ヨーロッパへ送っていた8分の1しかカバーできていないんです。」

Q.ロシアの経済はいつ破綻するのでしょうか?

(中村氏)

「2024年末~2025年初めにかけてかなり危機的な状況になると思います。プーチン大統領は、逆に焦りとして強気の発言をしたと思われます」

Q.ウクライナ侵攻を受けての西側の経済制裁で、ロシアの経済はすぐ破綻すると言っていましたが、まだ崩壊していませんよね?侵攻前からプーチン大統領は、インドや中国などに根回ししていたというはなしもありますよね?

(中村氏)

「経済制裁は、すぐには効かなかったのですが、ロシア経済を支える地下の天然資源に対して、今ガンガンに効いてきています。それと中国はプーチンの足元を見てロシア経済を叩いてきています」

プーチン大統領の娘登場!2人とも政府関連機関の幹部 日本的な所作も…実は親日家?

今回、「国際フォーラム」に、プーチン大統領の長女マリア・ボロンツォワ氏と次女カテリーナ・チホノワ氏の2人が相次いで登場しました。

Q.今まで謎に包まれていたのに、なぜこの2人がプーチン大統領の娘と報じられたのですか?

(中村氏)

「彼女たち2人は、プーチン大統領が大統領になった2000年に名前を変えているんです。だからよくわからなかったのですが、今回ロシアのメディアは、この2人はプーチン大統領の娘だと言い出しています。プーチン大統領本人は認めていませんが、間違いないだろうということです。謎に包まれているのでこの2人に注目が行くのですが、本当かどうかはわからないんです」

長女のマリア氏は、サンクトペテルブルグ大学で生物学、モスクワ州の大学で医学を学び、日本語も4年間学んでいたということです。オランダの実業家と結婚しましたが、離婚したとの報道もあります。今回の経済フォーラムでは、政府系の遺伝学研究所を率いてロシア科学振興協会の幹部として登場。内分泌(ホルモン)学者だということです。

次女のカテリーナ氏もサンクトペテルブルグ大学で日本語を学び、モスクワ州の大学で数学などを研究していたとのことです。プーチン大統領の友人の息子と結婚し、その後離婚。今はバレエ団の元芸術監督と事実婚をしていて、娘がいるとのことです。今回のフォーラムでは、ロシア企業の国産品を強化する国家プロジェクトを率いています。

Q.プーチン大統領は、娘のプライバシーを守りながら、ちゃんと政府系で働かしているんですね?

(中村氏)

「しかも、この2人が働いているのは、“国家プロジェクト”なんですよ。政府予算がどんどんつぎ込まれています。長女が内分泌学者だということですが、その目的は『プーチン大統領を死なせないため』と言われています」

アメリカ政府は、この2人の娘がプーチン大統領の“隠し資産”を持っているとして、制裁対象にしています。また、長女はイベントの場で、流暢な日本語を披露したということです。NNNモスクワの平山晃一記者は「現地で声をかけてみて、かしこまるというか恐縮するような“日本的な所作”が垣間見えた」と話しています。

(中村氏)

「私の知っているところでは、長女は、父親が大統領になった直後の2003~2004年頃に東京ディズニーランドに何度か来ているという話もあります。また、愛車はレクサスだということで、日本が好きなようです。今、日本とロシアの関係は悪くなってきていますが、そこでイメージを変えようと出てきたのかもしれません」

プーチン大統領の娘が登場したわけを中村氏は、「これまでは、権力闘争などに利用されないように隠してきたが、体力的・精神的衰えを感じて、娘を後継者にするための準備として公開したのでは」と語っています。今回のフォーラムには、ほかにもショイグ元国防相の娘やパトルシェフ大統領補佐の息子など政権幹部や富豪の子供も多数参加していたとのことです。それについて中村氏は「戦争が終わった後のロシア社会を支えていく“プーチンファミリー”のお披露目の場」だったのではないか、としています。

(中村氏)

「今回、プーチン政権を支えている人物の30~40代初めの子供ら9人が出てきて演説をしています。ウクライナの戦争はいつ終わるかわからないけれど、プーチン大統領は今年72歳でロシア人男性の平均寿命は60代後なので、体力的な衰えも出てきているということです。問題なのは3月の大統領選挙で80%の得票率を得ましたが、決して人気が高いわけではなく、ロシアの伝統の「皇帝(プーチン)が始めた戦争は皇帝(プーチン)が終わらせろ」というのもあるのです。また、事実上24年間も支配者だったので、国民の間に“うんざり感”があるのをプーチン大統領は知っています」

Q.かつて共産主義時代にあった「特権階級」の組織化がまた行われているとみることができませんか?

(中村氏)

「プーチン大統領には28兆円の隠し資産があるといわれています。ロシアの国家予算が約40兆円ですから、半分以上です。そのプーチン大統領の周りに特権階級の人たちがいて、その子どもたちが今回「経済フォーラム」に出てきたということで、この戦争がどうなるか分からないけれど、次の世代をこういう人たちで支えていくと、プーチンも取り巻きも安心できるというわけです」

プーチン大統領「北方領土訪問、控える理由はない」

今回、プーチン大統領は北方領土についても言及しています。中断している北方領土問題の解決を含む平和条約交渉について「対話を継続できる条件が整っていない」が「再開を否定するつもりもない」とロシアに制裁を続ける日本側の政策変更が必要との認識を示しました。そして、北方領土への訪問について、「控える理由はないが、現時点で計画はない」としています。中村氏は「単なる脅しではなく『予告』と捉えていい。プーチン大統領は北方領土をロシア国民のための観光地にしたいと考えているのでは」と話しています。

(中村氏)

「ロシア国民が『外国に行けない』ということがある中で、北方領土というのは、海に囲まれた保養地なんです。私もビザなし渡航で行きましたが、温泉があって海産物も豊富なので、人々のガス抜きにしようということです。プーチン大統領自身が乗り込んでいって『観光開発をしよう』というメッセージを出そうということだと思います」

Q.安倍元首相時代に北方領土問題が動きそうになったのが、後退した理由は何ですか?

(中村氏)

「ロシアは2014年にクリミア半島を占領しました。ロシア的にはクリミア半島を取っておいて、北方領土を返すのはおかしいとなったんです」

(「情報ライブミヤネ屋」2024年6月13日放送)

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