中国のEU産豚肉調査、欧州委「懸念せず」 スペインなど対応要請

[マドリード/ブリュッセル 17日 ロイター] - 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会の報道官は17日、中国がEU産豚肉の反ダンピング(不当廉売)調査を開始すると発表したことについて、懸念していないという認識を示した。

中国商務省は、EUから輸入する豚肉とその副産物に対する反ダンピング調査を17日から開始すると発表。主にスペイン、オランダ、フランス、デンマークを対象にしたものとみられている。

欧州委報道官によると、EUは中国当局の調査が世界貿易機関(WTO)の関連規則全てに順守することを確実にするため、適切に介入する構えという。

中国は調査について、中国畜牧業協会が6日に国内豚肉業界を代表して苦情を提出したものを受けた措置と説明している。しかしこの背景には、欧州委が先週、中国から輸入する電気自動車(EV)に最大38.1%の追加関税を7月4日から課す暫定措置を発表していることがあるとみられる。

スペインのプラナス農相は、スペイン産豚肉に対する関税導入を回避するため交渉を呼びかけ。記者団に対し「農産物や食品への関税導入を回避するため、理解や交渉の余地があると期待しており、そう予想している」と発言。中国側が調査は1年以上続く可能性があると表明しているため、直ちに措置が講じられるとは考えていないと述べた。

スペインの豚肉生産者団体インターポークによると、同国は昨年、中国に12億ユーロ(12億9000万ドル)相当の豚肉製品を輸出。中国向けは数量ベースで輸出全体の20.3%、金額ベースで13.7%を占めた。中国が輸入する豚肉の21%はスペイン産という。

デンマークの農業関連のロビー団体も「中国がEU産食肉の輸入を制限すれば、デンマークの豚肉業界は大きな打撃を受ける」と強調。全ての関係者に対し、雇用や食糧安全保障、生産への影響を考慮し、7月4日までに解決策を見つけるよう呼びかけた。

© ロイター