「話があるの」妻の実家に親族勢揃いで…「不倫議員」が妻から突きつけられた辛すぎる仕打ち【弁護士の実録】

(※写真はイメージです/PIXTA)

「不倫」「浮気」「離婚」「セクハラ」……銀座さいとう法律事務所には、今日も有象無象のトラブルが舞い込みます。本連載では、齋藤健博弁護士が実際に寄せられた事例をもとに、男女の法律問題を解説していきます。

不倫のため、地方から東京へ月1で通っていた「議員男性」

ある地方政治家の話です。彼は、父が経営する地元で名の知れた企業の豊富な資金力を背景に、若くして政治の道に進みました。何度かの選挙に勝ち抜き、地域では名前が知られる存在となっていました。

しかし、彼の順風満帆な生活は一変することになります。きっかけは、出会い系サイトで知り合った関東在住の女性と不倫関係に陥ったことでした。

地方の狭い社会で逢瀬を重ねることは難しいため、高額な出費を惜しまず、彼は月に一度東京へ通うようになりました。女性には現金を渡しており、会っていない間もラインで連絡を取っていました。

妻はこの不倫に気づいているようでしたが、何も言ってきません。それをいいことに不倫を続けていましたが、ある日、妻から「話があるの」と妻の実家に呼ばれることになりました。

実家に行くと、驚くことに親族が勢揃いしていました。全員の前で探偵が撮影した彼と女性の密会写真が提示されました。写真は二回目の逢瀬のもので、その時にはすでに現金を渡していました。

彼の頭を真っ先によぎったのは、政治家生命のことでした。しかし問題はそこではなく、妻から「自宅に帰ってくるな」と言われ、子どもとの面会も拒否されてしまったことでした。特に、政治家として将来を期待していた中学生の息子との断絶は、彼にとって大きな痛手でした。

その後、彼は女性への連絡を断ち、自宅に戻ろうとしましたが、妻は女性への慰謝料請求を開始しました。結果として、彼は再び自宅に戻ることができず、一人暮らしとなって議会活動を続けることとなりました。

妻は地元周りを得意としていたことから、「自分のことが明るみにされているのではないか…」と思いながら、地元の人との交流も続けていきました。

とはいえ、次期選挙では再び当選してしまいます。そこで子どもとの面会を求め、弁護士に相談しました。

しかし妻は「子どもが会いたくないと言っている」と主張し、彼は未だに子どもに会えない日々を過ごしています。不倫騒動から3年が経過し、不倫相手だった女性は慰謝料として300万円を支払ったことを風の噂で知りましたが、今後どうすれば良いのか悩んでいる、とのことです。

自業自得だが…「子どもに会う」道はあるのか?

記事を読んで、「子どもに会えないのは自業自得だ」という感情を抱く方がほとんどかもしれません。ただ、弁護士からの助言としては、「面会交流調停」により子どもに会う手立ては残されていると伝えることはできます。

『面会交流とは、離婚後又は別居中に子どもを養育・監護していない方の親が子どもと面会等を行うことです。

面会交流の具体的な内容や方法については、まずは父母が話し合って決めることになりますが、話合いがまとまらない場合や話合いができない場合には、家庭裁判所に調停又は審判の申立てをして、面会交流に関する取り決めを求めることができます。調停手続を利用する場合には、子の監護に関する処分(面会交流)調停事件として申立てをします。』(最高裁判所)

申立ての結果次第では子どもに会う道は残されているということです。

不倫はどんな職業の方にとっても問題のある行為ですが、今回の例のように他者からの支持を絶対的に必要とする職についている場合、自分のまいた種で職を失ったり、その恐怖で精神に支障をきたしたりすることもあり得ます。

そして今回の例に限ったことではありませんが、愛する子どもとも会えなくなる可能性が十分にあり得ます。

一時の欲求で取り返しのつかない事態を招かぬよう、自分の行動に責任を持ちたいところではありますが、問題が発生した場合には早期に専門家に相談するなど、適切な対応を心がけることが重要です。

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容から変更している部分があります。

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