震災半年、復興へ美の力 現美輪島展、7月13日開幕

現美輪島展の会場となる石川県輪島漆芸美術館=輪島市水守町

  ●「戦後60日の奇跡」原点

 第80回現代美術展(一般財団法人石川県美術文化協会、北國新聞社、一般財団法人県芸術文化協会など主催)の輪島展が7月13~21日、輪島市の県輪島漆芸美術館で開かれることに決まった。能登半島地震から半年余り、終戦2カ月後に開幕して「戦後60日の奇跡」と呼ばれた第1回現美の原点に立ち返り、美の力を被災地復興の原動力にしてもらう。

 現美は「文化芸術の力で郷土復興を後押しする」との願いを込め、終戦直後の1945(昭和20)年10月に第1回展が開催された。県内巡回展の一つである輪島展は昨年7月、70年ぶりに開かれた。

  ●仮復旧の漆芸美術館で

 元日の地震後、漆芸美術館は臨時休館しており、展覧会は今年に入って初めて。7月12日の開場式を含め、地震前に計画した通りの日程となる。入場は無料とする。

 同館は地震により正面玄関前が陥没したが、舗装して仮復旧した。館内の陳列ケースが一部破損したことなどを考慮し、展示数は35点に絞る。

 このうち31点は、輪島在住の作家に加え、第80回現美で優秀賞以上に選ばれたり、輪島市長賞を受賞したりした作家らの作品となる。残る4点は、地震の影響で第80回現美に出品できなかった地元作家の過去作で、漆芸美術館の所蔵品を並べる。

 輪島展の開催を巡っては、4月に金沢市で開かれた現美開催記念パーティーの席上、県美文協の飛田秀一会長(北國新聞社名誉会長)が「復興への一歩を踏み出す原動力になる」と実施への協力を呼び掛け、坂口茂輪島市長も意欲を示していた。

 坂口市長は「輪島には輪島塗などの作家が多くおり、現美の開催は復興の一里塚になる。漆芸美術館は発災後、臨時休館が続いているが、再開は輪島塗関係者の精神的な支えにもなる」と期待を込めた。

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