「エサ求め歩き回っている」クマ目撃情報が前年度の3倍超 福井県あわら市、全児童にクマ鈴配布

 福井県あわら市で4月以降、ツキノワグマの目撃情報が6月17日現在で前年同期(17件)比3.2倍超の55件と増加し、市と市教委は小学校での対応を強化している。市街地にある金津小は校区内の目撃情報を受け、12日までに全児童にクマ鈴を配布。市、市猟友会、あわら署によるパトロールも行われた。全7小学校では朝の会、帰りの会、校内放送で、クマに遭遇したときの対処法を伝えて注意喚起している。

 市鳥獣害対策室によると、今年は4月2日に東山で最初の目撃情報があった。4月は5件、5月は21件。6月は17日朝までに29件に上る。山十楽、青ノ木、指中、北潟などで出没。山ややぶ近くが中心で人的被害は確認されていないが、過去最多だった昨年度の出没数69件に迫る勢いだ。

 市会での市教委の報告によると、目撃情報は平日、休日関係なく、同対策室から市教委を通じて各小学校長に連絡。例年目撃情報が多い地域にある細呂木、金津東、伊井、北潟の4小学校では新入生にクマ鈴を配布している。

 今年は金津小周辺でも多く、同校は新たにクマ鈴約400個を購入し、持っていない児童に配布。市担当者らによる登下校時のパトロールも連日行った。同校によると、近くで目撃された場合には、教職員が下校に付き添っている。市教委は市内全児童分のクマ鈴購入を検討している。

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 昨年最初に目撃されたのは5月12日で、出没時期は早まっている。同対策室は「昨年から小さい個体が増えており、エサを求めて歩き回っている。クマの繁殖期も早まっているのでは」と推測する。目撃情報の多い場所におりを2基設置。増設も検討する。

 市によると、目撃情報の中にはクマ以外の可能性もあるが、さらに件数が増えれば「(同室に)応援を出してパトロールを強化する」としている。

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