パリ五輪BMXフリースタイル・パーク“期待の新星”溝垣丈司は初の切符を掴めるのか…2大会連続出場を狙う中村輪夢の戦いにも注目!女子は内藤寧々が上位を狙う…

東京五輪で正式種目となったBMXフリースタイルは、パリで2度目のオリンピックとなるBMXフリースタイル種目で日本からパリ五輪を目指すのは、東京五輪で5位入賞を果たした22歳・中村輪夢、パリで初めての五輪出場を目指す18歳の溝垣丈司、同じく18歳で、女子唯一の五輪出場を狙う内藤寧々の3名だ。

BMXフリースタイルのパーク種目は、24人のライダー(男子12人、女子12人)がパリで競い合う。また選考方法は2024年の「オリンピック予選シリーズ 」で男女各6枠、2022年の国際自転車競技連合(UCI)「アーバンサイクリング世界選手権」で男女各2枠、2023年の国際自転車競技連合(UCI)「自転車競技世界選手権」で男女各3枠、が決定される。また、オリンピック開催国であるフランスが開催国枠で男女各1枠が割り当てられている。

そのため6月20日からハンガリー・ブダペストで行なわれる、五輪予選の最終戦では、残りの6枠を争う戦いとなる。五輪予選シリーズの選考方法は、予選シリーズの2大会(上海、ブダペスト)の合計で男女それぞれ、総合ランキングで上位6名の選手が出場権を獲得。しかし、各国最大2名のため、同国選手3名以上が上位に食い込んできた場合、上位2選手が五輪出場決定する仕組みだ。
パリでの活躍が期待されている男子パークの中村について、プロBMXライダーで東京五輪のテレビ中継の解説などを務める米田大輔氏は、日本で開催されたBMXワールドカップの際に「必ず新しいこととか、ジャッジを驚かすようなことをしっかり狙ってやるところが他のライダーと違う」「世界最高峰のレベルに居ると思ってる」などと絶賛していた。いま最もパリに近い日本人選手だ。

そんな中村は前述の22年の国際自転車競技連合(UCI)「アーバンサイクリング世界選手権」で優勝。ブダペスト大会で6位以内に残れなくても出場の可能性が残っているが、5月に行なわれた上海大会では9位と苦戦。パリではメダル獲得が期待されているだけに、最終戦では上位に位置付けて、気持ちよく出場権を掴みたいところだ。
続いて、同じく男子パークで、初のオリンピック出場を目指す18歳の溝垣丈司。5月11日に行なわれたフランス・モンペリエで開催の国際自転車競技連合(UCI)「BMXフリースタイル ワールドカップ」第2戦では、11位に付け、同じく5月の上海大会では持ち味のライディングスキルで難しいパークを乗りこなし15位でフィニッシュ。決勝進出は逃したものの、国際大会での経験を着実に積み重ね、実力を上げてきている新星だ。

また今回、溝垣に注目したいのは彼にしかない“スタイル”だ。同じく東京五輪のテレビ中継などで解説を務めた米田大輔氏は、溝垣について「世界で十分に戦える力はある」と評価した上で、プレースタイルについて「天才的なルーティンの組み方だったり、バイクコントロールとかが、誰も真似できない領域にまできてる」「人の心に刺さる魅力を持っている」と評し、溝垣が放つ“唯一無二のスタイル”に期待を寄せていた。

また課題として「あとは3D技を入れたり、トランスファー(セクションからセクションへ飛び移る行為)しながら回って何かするとかがあれば(順位は)上がっていく」といった部分を指摘されていた。大会の数週間前に公表されるコースの地図を基に、どのようにトリックのルーティンを組み立てるか、こういった点も重要となってくる。

中村の背中を追い、日本の男子パーク種目2枠目を獲得できるのか、ブダペストでの溝垣のパフォーマンスに期待したい。

最後は日本勢で唯一、女子パークでパリ五輪出場を目指す内藤寧々。21年に全日本選手権で初優勝(女子エリートクラス)。その後、BMXフリースタイル・パーク種目の強化指定を受け国際大会にも多数参戦してきた。5月の五輪予選シリーズ上海大会では、“テールウィップ”(バニーホップ中にフレームを横に一周させるトリック)を2本決めるなど躍動したが、ミスも目立ち16位で決勝進出を逃している。
内藤について米田氏は「回転系とか、高さのあるトリックを組み込んでいく必要がある」と話していた。さらに「いま女子の世界では中国のライダーのレベルがかなり上がってきている」と言及していた。実際、今回BMX・フリースタイルパークの女子の予選シリーズに中国選手が3名も出場するなど、その勢いは一目瞭然だ。

パリを懸けたブダペストでの最後の戦いで、内藤がどのような活躍をみせるのか。女子パークの切符争いからも目が離せない。

構成●THE DIGEST編集部

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