中国がEU豚肉輸入制限も、南米諸国や米ロにシェア拡大の好機

Naveen Thukral

[シンガポール 17日 ロイター] - 中国政府が17日、欧州連合(EU)から輸入している豚肉と臓物などの関連製品に関して、反ダンピング(不当廉売)調査を開始したと発表した。取引業者や専門家らによると、今後実際に関税引き上げなどの輸入制限が導入されれば、南米諸国や米国、ロシアなどの豚肉供給業者が中国で市場シェアを拡大するチャンスがあるという。

中国側の調査は、EUが7月から中国製電気自動車(EV)に追加関税を課すと決めたことへの対抗措置とみられている。調査には少なくとも1年以上を要するとしており、EUからの豚肉輸入に影響が出てくるのはかなり先になりそうだ。

ただラボバンクのシニアアナリスト、パン・チェンジュン氏は「EUからの豚肉輸入が制限されれば、ブラジルやアルゼンチン、米国が(中国向け)豚肉・臓物輸出を拡大できる。反ダンピング税があまりに高ければ、米国やブラジルなどEU以外の地域からの輸出が増加するだろう」と述べた。

中国との貿易面での結び付きを一段と強め、今年2月に中国向け豚肉輸出を開始したばかりのロシアも、輸出を拡大してもおかしくない。

取引業者の1人は、ブラジルは本来価格競争力が高いため、すぐにシェアを伸ばせるとの見方を示した。

EUにとっては中国による輸入制限の痛手は大きくなる。欧州では豚足や豚の耳、臓物などはペットフード用にしか消費されないためだ。

一方でパン氏によると、中国の豚肉・臓物消費全体に占める輸入の比率はわずか5%なので、輸入制限に伴う国内市場への影響はそれほど深刻にはならないという。

© ロイター