中国首相、西オーストラリアのリチウム工場視察 財界首脳とも懇談

Kirsty Needham Renju Jose

[シドニー 18日 ロイター] - オーストラリアを訪問している中国の李強首相は18日、西オーストラリア州のリチウム処理工場を視察した。中国が重要な鉱物資源の確保に力を入れていることが示された。

李氏が訪れたのは天斉リチウム・エナジー・オーストラリアの水酸化リチウム処理工場で、同社には中国の天斉リチウムと豪資源会社IGOがそれぞれ51%、49%出資している。

西側諸国が電気自動車(EV)に不可欠なレアアース(希土類)の中国依存低減に動く中、李氏の訪問はオーストラリアが重要な鉱物セクターへの中国からの高水準の投資を今後も受け入れ続けるかどうかという問題を提起している。

アルバニージー氏は18日付の西オーストラリア州紙ウェスト・オーストラリアンへの寄稿記事で、重要鉱物とレアアースを活用して加工・精製・製造分野の雇用を拡大し、より幅広い市場に販売したいと語った。

「地元の製造業を活性化させる取り組みは貿易関係を断ち切ったり、経済の架け橋を外したりすることではなく、オーストラリアを国際的なバリューチェーンの上位に押し上げることを意味する」と述べた。

李氏はリチウム処理工場を視察した後、西オーストラリア州の州都パースでアルバニージー豪首相と共にビジネスラウンドテーブルに参加した。

李氏は17日、オーストラリアが中国企業に「公平で公正かつ差別のないビジネス環境」を提供することを望んでいると述べた。ビジネスラウンドテーブルでは中豪両国が互いの発展から利益を得ていると語った。

中国国営通信新華社によると、サプライチェーンを安定させ経済成長を促進するには協力が重要だと述べた。

アルバニージー氏は、オーストラリアは経済の近代化と多様化を進めており、国際的なパートナーシップと外国投資の流入は今後も重要となるだろうと述べた。

<中国系ジャーナリストへの対応「容認できず」>

アルバニージー氏は18日、オーストラリア国籍の中国系ジャーナリスト、チェン・レイ氏の取材を中国当局者が妨害しようとしたことは「容認できない」と李氏に伝えたと述べた。

レイ氏は中国で国家機密を提供した罪で3年服役し昨年10月に豪に帰国した。

レイ氏は17日、キャンベラで他の報道関係者とともに李氏の訪問を取材していた。そこに複数の中国当局者が立ちはだかり同氏がカメラに映らないようにした。

アルバニージー氏は18日の6PRラジオのインタビューで、この件に関する懸念を李氏に直接伝えたと述べ、これは中国とオーストラリアの相違点の一例だと指摘。「政治体制や価値観が異なるが、それらの問題を解決していく必要がある」と語った。

ウォン豪外相はABCラジオに対し、この問題を李氏に提起したのは「オーストラリアにとって報道の自由は非常に重要」だからだと語った。

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