「学校の公衆電話を残して」 保護者との連絡、災害時の利用も 那覇市PTA連が市教委に要請 沖縄

安心安全や防災の観点から市内小中学校に公衆電話を残す意義を確認した(左から)宮里寿子教育長と安里幸治会長ら=5日、那覇市役所

 那覇市PTA連合会(安里幸治会長)は5日、那覇市役所に宮里寿子教育長や島袋久枝総務部長を訪ね、子どもたちの安心安全や防災の観点から、市内小中学校に設置された公衆電話を残すことに理解を求める要請書を手渡した。

 5月に公衆電話を管理するNTTビジネスソリューションズから、月額利用料4千円未満の電話を廃止する通知があったことが背景にある。市教育委は同連合会に理解を示し、NTT側に設置継続を求める文書を送付するという。

 市や同連合会によると、公衆電話は各学校のPTA会長名義で契約しているという。2021年ごろから利用料が少ない電話を廃止する通知がPTAなどにあり、応じた学校もあるという。安里会長は「学校には公衆電話が恒久的に必要」と述べ、宮里教育長らに要請書を手渡した。

 要請書では、(1)下校時の天候不良や緊急時に保護者と連絡を取りたい児童生徒にとって、公衆電話は必要不可欠(2)携帯電話などの持ち込みは原則禁止であり、保護者への連絡手段が公衆電話しかない(3)小中学校は指定避難所であり、災害発生時に利用される公衆電話は必要なライフライン―などと訴えている。要請の場では、市側に財政措置を求める意見もあった。

 宮里教育長は、学校に行き渋る児童にとっては「親に連絡できる公衆電話があるから寂しくても頑張れるケースもある」と、同連合会に協力する考えを示した。

 NTTビジネスソリューションズの九州公衆電話営業担当によると、月額利用料が1万円前後でも利益を出すのは厳しく、4千円以下だと明確に赤字になるという。九州各県と比べて沖縄県内の利用率は高いものの、月額利用料が百円にとどまる学校もあるため、廃止への理解を求めている。 

 (嘉陽拓也)

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