コルグの動画配信システム「Live Extreme」、立体音響「MPEG-Hオーディオ」のライブ配信に対応

コルグは、2024年8月リリース予定の動画配信システム「Live Extreme」の次期バージョン(V1.14)にて、立体音響フォーマット「MPEG-Hオーディオ」の配信に対応することを発表した。

「Live Extreme」が立体音響フォーマット「MPEG-Hオーディオ」のライブ配信に対応

Live Extremeは、オー ディオ・クロックを配信システムの軸とした「オーディオ・ファースト思想」や、ロスレス /ハイレゾ・オーディオに対応した高い音質が好評を博し、これまでに150公演以上のコンサートやイベントの配信に採用。2023年には「AURO-3D」や「Dolby Atmos」による立体音響配信機能も追加され、すでに多くの配信で利用されている。

今回コルグは、ドイツの音響研究所「Fraunhofer IIS」(フラウンホーファー)とライセンス契約を締結。2024年8月にリリース予定の、Live Extremeの次期バージョンv1.14に、「MPEG-Hオーディオ」のライブ配信機能が搭載されることが決まった

MPEG-Hオーディオは、パーソナライズ可能な没入体験を提供するという次世代オーディオ技術。オブジェクト・ベースのシステムでソニーの「360 Reality Audio」の基盤となっており、韓国の地上波UHD TVサービスで唯一の音声コーデックとして採用されているほか、ブラジルの「TV 3.0」放送サービスでも唯一の必須音声コーデックとなっている。

パーソナライズ可能な没⼊体験を提供する次世代オーディオ技術

さらに、日本の次世代地上デジタル放送仕様でも採用が決定しており、同社は「Live Extremeの対応コーデックに新たにMPEG-H オーディオが加わることで、高音質配信や立体音響配信の更なる普及が見込まれます」と説明している。

6月22日~23日に東京国際フォーラムにて開催される「OTOTEN 2024」のコルグ・ブースで、MPEG-H 3DAudioを搭載したライブ配信エンコーダー「Live Extreme Encoder v1.14」のデモ展示を予定する。また、MPEG-H3D Audioをはじめ、各種立体音響フォーマットの再生に対応したSTB(セットトップ・ボックス)用アプリケーション「LiveExtreme Experience」の参考出品も予定している。

OTOTEN2024にてデモ展示も予定

本発表に際して、(株)コルグ取締役の大石耕史氏、フラウンホーファーIISメディア技術シニア・エンジニアのヤニク・グレーヴェ氏がコメントしている。その内容は以下の通り。

(株)コルグ取締役の大石耕史氏 コメント

「Live Extremeの使命は、他のストリーミング・システムでは実現できない最高品質のオーディオを提供することです。22.2チャンネル・ベースのオーディオや、ピュア・オブジェクト・ベースのストリーミングといった機能は、MPEG-Hオーディオの機能なしには実現できませんでした。多くの配信が、この最高のクオリティで提供される日が待ち遠しいです」

フラウンホーファーIIS メディア技術シニア・エンジニア ヤニク・グレーヴェ氏 コメント

「MPEG-HオーディオをコルグのLive Extremeに統合することは、より多くの家庭に高品質の次世代エンターテインメント体験をストリーミングするための重要なステップです。コルグとのパートナーシップは、完璧さを求める共通の情熱によって推進されたものであり、 世界中の視聴者にとって忘れられない体験となることでしょう」

【MPEG-Hオーディオの配信仕様】

配信プロトコル : HLS, MPEG-DASH

配信形式 : ライブ配信/疑似ライブ配信(収録済みコンテンツのライブ配信)/オンデマンド配信

音声 :

オーディオ入力→最大25チャンネル

コーデック→MPEG-H 3D Audio Baseline Profile

サンプルレート→48kHz

ビットレート→32, 40, 48, 56 64, 80, 96, 112, 128 (kbps/ch)

チャンネル・ベース→2ch, 5.1ch, 7.1ch, 5.1.2ch, 5.1.4ch, 7.1.4ch, 22.2ch

オブジェクト・ベース→最大24エレメント

メタデータ入力→MPEG-H Control Track

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