ギャング、同性愛者ら 軍事独裁政権下のブラジルで疎外された人々を描く 「デビルクイーン」公開決定

ギャング、同性愛者、ドラァグクイーン、娼婦など、軍事独裁政権下のブラジルで最も疎外された人々を、強烈なサウンドと極彩色の美術、暴力とクィアネスを融合して描いた、1973年のブラジル映画「デビルクイーン」が、2024年8月10日より劇場公開されることが決まった。本邦初公開となる。

「デビルクイーン」の主人公は、ビビッドな色のアイシャドウを塗ったまぶたから鋭く光る視線で、リオデジャネイロの裏社会を支配しているデビルクイーン。部下のギャングたちに恐怖を、自らの王国“ドールズ” にキャンディをバラまき、愛用のジャックナイフで脚をシェーブし、裏切り者を切り裂いている。ある日、ハンサムなお気に入りが警察に追われていることを知ると、スケープゴートとしてキャバレーシンガーのイザのヒモである世間知らずのべレコを巻き込むが、事態は思わぬ⽅向に動きはじめる。

ある時は恐怖で組織を支配するギャングのボスとして、ある時はスウィートな女王として、狂気とチャーミングさを同居させた「デビルクイーン」を怪演したのは、ブラジルの伝説的俳優であるミルトン・ゴンサルヴェス。シネマ・ノーヴォとボサノヴァのミューズのひとりであるオデッチ・ララがキャバレーシンガーとして出演している。監督のアントニオ・カルロス・ダ・フォントウラは、「Copacabana Me Engana」(68)で劇映画デビュー。ブラジルのサイケロックバンド・ムタンチスやシンガーのガル・コスタなど、トロピカリア・ムーヴメントを代表するアーティストたちのドキュメンタリーなども手がけている。

ブラジル映画史の中で最も抑圧的だった時代の検閲をくぐり抜け、熱狂的なファンに愛されながらも、長きに渡って世界的上映の機会に恵まれていなかったが、制作から50年の節目となる2023年に4Kレストアを果たした。同年のベルリン国際映画祭で上映されると、若者を中⼼に支持を集めたという。

【作品情報】
デビルクイーン
2024年8月10日(土) シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
配給:ALFAZBET

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