バイク談議で夜はふける「ライダーハウス苫小牧」

かつて北海道ツーリングの宿と言えば、ライダーハウスが定番でした。安く泊まれるだけでなく、情報交換の場としても重宝していました。しかし時代とともに数が減り、今では数える程しか残っていません。そんな中、2023年6月に新しいライダーハウスがオープンしました。1周年を迎えた「ライダーハウス苫小牧」を紹介します。

日本経済を支える勇払地区

「ライダーハウス苫小牧」は、苫小牧西港と東港の中間に位置する「勇払地区」にあります。アイヌの時代は同地区を流れる勇払川が石狩方面への交通手段として使われていたと言われており、約600年前の丸木舟が発掘されています。現在は「苫東工業地帯」としてトヨタ自動車・日本製紙・アイシン北海道などの工場が連なるなど、日本経済にとって重要な区域です。

ことの成り行きでライダーハウスをオープン!?

「ライダーハウス苫小牧」は、プレオープンを経て2023年6月1日に営業を開始しました。オーナーの関谷勝義さんは埼玉県出身。16歳からバイクを乗り継ぎ、現在は埼玉でバイク便の会社を経営しています。苫小牧にライダーハウスをオープンしたのは「偶然」といいます。

「日本のどこかでライダーハウスやゲストハウスをやりたいという夢がありましたが、場所を決めかねていました。たまたま去年(2023年)の 2 月に商船三井フェリー大洗~苫小牧が就航 50 周年記念で安く乗船できたので、なんとなく物件をあたってみました」

不動産屋から紹介されたのは、古い一戸建て住宅でした。希望価格を伝えると売主の希望と乖離しているためか「少し待ってください」とのこと。「あの金額では無理だろう」と思っていたところにOKの連絡が入ったと言います。

「この金額なら買いますと言ってしまったので、買わないわけには行かなくなってしまいました。それからD.I.Yでリフォームして、なんとか開業にこぎつけました」

ここは休憩所付き駐車場!

宿泊施設を経営するためには、旅館業法に適合する必要があります。しかし安価な料金設定のライダーハウスでは、それもままなりません。関谷さんは、それをクリアするために秘策を編み出しました。

「ライダーハウス苫小牧は、屋根なし1800円、屋根付き2000円(共に1日)の賃貸駐車場です。利用者に『休憩所』を無料で開放しています」

つまり、駐車場を借りると無料で休憩所を使用できるというわけです。もちろん一晩休憩するのもOK。女性専用休憩スペースもあります。天候や体調が悪いときは、日数分の駐車料金を払うことで休憩を延長できます。

相部屋での休憩が基本ですが、「人と一緒に休憩するのが苦手」と言う方のために、関谷さんの愛車内での休憩も行っています。キッチンや浴室(シャワーのみ)も完備し、電子レンジも無料で使用できます。

感動や想い出を貯金箱に込めよう!

ウェルカムドリンクとして、お酒が飲める方には北海道限定販売のビール「サッポロ・クラッシック」、飲めない方には「ガラナ」も無料で提供しています。休憩する人が少ないときは、関谷さんの趣味である焼き鳥が振舞われることもあるそうです。

営業期間の4月から10月まで、関谷さんはライダーハウスに常駐しており、毎夜お酒を飲みながら、ライダーたちとバイク談議を楽しんでいます。国内外のツーリングはもちろん、修理、カスタム、レース、苫小牧近郊の情報など話題が豊富で、ライダーを飽きさせることはありません。

楽しく過ごした時間はプライスレス。しかしライダーハウスの維持にお金がかかっていることや、関谷さんからゴチになったことは事実。感動や想い出を貯金箱に込めてください。

「ライダーハウス苫小牧」の事前予約はサイトからお願いします。電話予約は当日宿泊のみ可能です。この決まりは厳守してください。また周囲には野生動物が出没します。追突に十分注意してください。

ライダーハウス苫小牧
住所:苫小牧市勇払28-29

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