「敗れたことが悲しい」ファイナル敗退のドンチッチが心境を吐露「僕らを支えてくれる人たちのことを誇りに思う」<DUNKSHOOT>

ダラス・マーベリックスは6月17日(日本時間18日)に行なわれたNBAファイナル第5戦でボストン・セルティックスに88-106で敗退。シリーズ通算1勝4敗で球団史上2度目の優勝はならなかった。

エースのルカ・ドンチッチが28得点、12リバウンド、5アシスト、3スティールと奮闘も、ダラスでの第3、4戦で平均28.0点をマークしていたカイリー・アービングは15得点止まり。第4戦ではチーム全体で40.5%(15/37)の確率で決めていた3ポイントもこの日は29.7%(11/37)と当たりが来ず、無念のシリーズ敗退となった。

キャリア6年目で初のファイナル出場を果たしたドンチッチはシリーズ平均29.2点、8.8リバウンド、5.6アシスト、2.6スティールと個人としては見事なパフォーマンスを披露。ただ、チームが1勝しかできずに敗れ去ったことに大きなショックを受けていた。

「自分たちが敗れてしまったことが悲しい。ほかに何も(言葉が)浮かんでこない。自分がケガをしていたこと、どれほどのケガを負っていたかは関係ない。僕は戦おうと努力してきた。けど十分じゃなかったんだ」

ドンチッチはプレーオフに入ってから右ヒザの捻挫、左足首の痛みを負っただけでなく、胸部打撲で痛み止めの注射を打って強行出場。最終的に1試合も欠場することなく、トップスコアラーとしてチームを牽引し続けた。
今年のプレーオフで残した899分、635得点、208リバウンド、178アシスト、41スティール、フィールドゴール成功225本、3ポイント成功68本はいずれもリーグトップというスタッツからも、この男が獅子奮迅の活躍を見せたことは間違いない。

また、昨年プレーオフから遠ざかっていたチームが今年ファイナルまで勝ち進んだことについてドンチッチはポジティブな言葉を発していた。

「気持ちいいものだね。僕らはいくつか最高の動きをした。(今のロスターで)5か月間、一緒にやってきたんだ。フロアに立った全員、コーチ陣、僕らを支えてくれる人たち一人ひとりのことを誇りに思うよ。確かにファイナルで勝つことはできなかったけど、僕らはものすごいシーズンを送ったんだ」

スロベニア代表でもエースを務めるドンチッチは、来月上旬にパリオリンピックの世界最終予選が控えているが、今は「次のことについて話したくはない。いくつか決断することになる。けど今は少しでも健康体を取り戻すようにする。2日後にインタビューがあるから、その時に話すよ」と語り、明言は避けた。

ファイナルでは何度も右ヒザから出血していたこともあり、ドンチッチは肉体面で満身創痍だった。この悔しさをバネに、来季は今以上にアンストッパブルな選手になって大舞台に戻ってくることを期待したい。

文●秋山裕之(フリーライター)

© 日本スポーツ企画出版社