防災まち歩きを通して今できる備え『シリーズ命を守る・防災』【熊本】

18日の特集『シリーズ命を守る・防災』です。熊本県内は17日平年よりも13日遅く梅雨入りしました。大雨のシーズンを前に避難ルートを確認する『防災まち歩き』や、防災の専門家へのインタビューを通して今できる備えについて考えます。

【防災システム研究所 山村武彦所長】
「大雨の季節で大切なことはリスクについて知ること」

6月9日、山鹿市の宗方地区で開催されたイベント『防災まち歩き地域ワーキング』です。大雨シーズンを前に、住民の防災意識を高めようと、菊池川河川事務所と県、山鹿市が合同で企画しました。

【菊池川河川事務所 山本恭裕技術副所長】
「危険箇所のポイントを歩きながら、どこが危なかったか、どういうところに注意したらいいか語り合ってもらいたい」

菊池川の右岸に位置する宗方地区は低地で、市の防災マップでは、川が氾濫すると、3メートル以上の高さまで水に漬かるとされています。
【菊池川河川事務所 星子智明流域治水課長】
「赤で示した高さが3メートル。だいたいこちらまで最低でも浸水するとされていて、リスクが高い地区になるので、その点も認識してほしい」

また、周囲を堤防に囲まれているため、降った雨が水路などからあふれる『内水氾濫』のリスクもあるとされています。

この日は、地区の住民およそ30人が参加。

2つのグループに分かれて、想定される避難ルートを歩きながら、ルート上に危険な箇所がないか確認しました。

【住民の声】
「公園の前の道路がちょっとした雨で水に漬かる。十字路あたりが相当漬かる」

住民それぞれが普段の生活の中で感じていることを話し、リスクを共有します。

参加した子供がのぞき込んでいた水路の開口部も大雨が降れば、とても危険な場所になります。
【菊池川河川事務所 星子智明流域治水課長】
「水路の開口部、小さいお子さんと避難しているときに、吸い込まれる可能性もあるので十分注意してほしい」

【参加した住民】
「気づかなかった」「これは金網か何かしておいたほうがいい」

普段、何げなく通る道も、防災の意識を持って歩くとリスクが見えてきます。

この他にも冠水したときに、つまずいて転倒する恐れがある歩道の縁石や車止めの石に注意して避難することなどを確認しました。

【参加した住民】
「用水路の穴は危ないと思った」「側溝とか用水路が本当に危ないと感じた。歩いてみないと分からなかった」
【宗方北区 榊 龍盛区長】
「逃げる時には他の町内も通るので、危険箇所をきょう新たに発見できて良かった」

参加した住民らは、「防災まち歩き」で気付いた危険箇所などを地図に落とし込み、オリジナルの防災マップを完成させました。

【防災システム研究所 山村武彦所長】
「防災まち歩きは楽しく学んで賢く備えるためのもの。いざというときに自分で判断し、考えて安全な行動が迅速にとれるタイミングを逸しないためには防災まち歩き、自分のまちを知ることが大事」

防災システム研究所の山村武彦所長は『明るいうちの念のため避難』を呼びかけます。
【防災システム研究所 山村武彦所長】
「夜間などに、道路が冠水した状態で避難するのは大変危険。ましてや車で避難するのは非常に危険。徒歩で避難するためには早い段階で避難することが大事。
『明るいうちの念のため避難』が基本」大雨に備えて、いま一度、避難ルートを
確認するとともに、空振りを恐れず早め早めのタイミングで避難することが重要です。

【CM】
「命を守るために逃げるスイッチオン」

TKUでは、今年も防災システム研究所の山村武彦所長の監修のもと、防災についてシリーズでお伝えしていきます。

山村所長は、大雨が降る前に自宅周辺の排水溝を掃除して目詰まり水害が起きないようにすることや、家族と避難するタイミングを話し合っておくことも大事だとしています。

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