福井県内の過疎地域で少子化の影響により保育園の運営が成り立たなくなり、閉鎖するケースが出ている。県内の保育園、認定こども園、幼稚園の数は2012年度は383だったが、24年5月時点で325と15.1%減少。国や県、市町からは、園児数に応じて事業費が支払われているが、園児が少ない施設の関係者は「それだけでは運営できない」と嘆く。県が都市部からの移住定住を促す人口減対策に力を入れる中、「園児を受け入れる施設がない地域に若者は来るだろうか」と疑問を投げかける。
70人の子どもが4人
福井市越廼地区で唯一だった曙保育園は23年3月末、66年の歴史に幕を下ろした。ピーク時には約70人の子どもがいたが、閉園時は4人。当時の園長、竺恵純(ちくえじゅん)さん(44)は「越廼地区の子どもは出生数ゼロが続き、先が見えなかった。周辺地域にも入園を呼びかけたが、だめだった」と苦渋の決断を振り返る。
21年には19人の園児がいた。同年、3世帯が市中心部へ引っ越したのに伴い、6人が転園。22年3月には7人の年長児が小学校に上がり、園児は6人になった。23年3月には2人が小学生になったため閉鎖した。
同園の建物は鉄筋コンクリート2階建てで築20年。建設には旧越廼村の補助金が一部充当された。高台にあり地域の避難所としての活用を模索したが、保育以外で使う場合は、補助金を返還する必要があったため建物は撤去せざるを得なかった。現在は更地になっている。
県内の保育園、こども園、幼稚園の入所児童数は12年度は2万9965人だったが、23年度は2万5583人で4382人(14.6%)減少した。