温泉街の景観損ねた廃旅館、補助金使い本格的に解体 福井県あわら市の「角惣」6月末まで工事

重機を使った本格的な解体工事が始まった廃旅館「角惣」=6月12日、福井県あわら市

 2010年に経営が行き詰まった福井県あわら市の廃旅館「角惣」の重機を使った解体工事が、本格的に始まった。老朽化で倒壊の危険があり、観光客への印象も悪いことから市が解体費2千万円を補助。市によると、工事は6月末ごろまで予定されており、跡地は駐車場になる見通し。

 建物は、えちぜん鉄道あわら湯のまち駅近くにあり、温泉街の“顔”とも言える場所に位置している。1969年に建てられた鉄筋コンクリート6階建てで、延べ床面積約1440平方メートル。現在は「ホテルゆらく」(同市)が所有している。

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 廃業後は老朽化に伴い建物の一部が破損、不法侵入も相次ぎ、住民が「何とかしてほしい」と市に要望していた。市は22年に倒壊の危険などがある「特定空き家」に認定した。

 温泉街の景観維持の面で、旅館関係者は「お客さまも安心安全にあわらを楽しめると思う。(駐車場へ)整備が進むだけでもありがたい」と話す。北陸新幹線県内開通後の観光客増にもプラスになることを期待している。

 市によると解体見積額は3751万円。市は特例で24年度一般会計当初予算に「旧角惣旅館除却支援補助金」2千万円を計上した。国と県の補助金を活用し、市の実質負担は972万5千円となる。

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