【日本移民の日】日伯の新たな「道のり」に期待=ブラジル日本商工会議所会頭 小寺勇輝

小寺勇輝

 ブラジル日本移民116周年を迎えるにあたり、日系社会をはじめとする皆様に心からお祝い申し上げます。
 2021年4月に新型コロナが猛威を振るう中サンパウロに着任して以降、4回目の「日本移民の日」を迎えます。毎年、「日本移民の日」が近づくと、日本人移民並びにそのご子孫の方々の努力と彼らのブラジルと日本に対する貢献に感謝すると共に、自分は日伯両国間の関係発展の為に、何が出来ているのであろうかと考えさせられます。
 116年前から始まったブラジルへの日本人移住は、それぞれが大きな夢と希望を持たれて遠い異国の地に来られたものの、言語や文化も異なる中で幾多の困難に直面されたと伺っております。様々な苦難を個人の努力と共助の精神を持って仲間同士で支えながら力を合わせて乗り越えてこられました。ブラジルにおられる日系人は約270万人にも達しブラジルの経済発展に貢献すると共に、日本人、日系人としての信頼をブラジル国民から獲得し、確固たる地位を築いています。これらの成果が日本とブラジルの友好の架け橋となり、今日の日伯関係の緊密化に繋がっています。
 ブラジル日本商工会議所の会員の約6割は日本からの進出企業となっています。ブラジル企業と初めて仕事をしたり、駐在員として初めてブラジルで生活をしたりすると日本人である我々を暖かく受け入れてくれることに驚くことがあります。ブラジルは日本人にとって溶け込み易く、企業にとっては仕事がし易い国となっています。
 本年5月に岸田総理大臣がブラジルを訪問され、サンパウロ大学で中南米政策スピーチをされました。その中で、日本人の「道のり」の到達点がブラジルにあり、そこから多くの日本人が流した汗がしみこんだ「道」が伸びているという一節がありました。このスピーチを拝聴して我々日本企業は日本人移民者によって綺麗に舗装された「道」を歩んでいることを認識すると共に、目標を共有する地元パートナーと共に新しい「道のり」を拓いて行かねばならないと認識しました。
 昨年から日本とブラジルの関係が再活性化しつつあると感じます。昨年はルーラ大統領が日本を訪問し、今年は5月に岸田総理大臣が来伯され、11月にはG20リオ・サミットが開催されます。両首脳の交流のみならず、短期滞在査証の免除措置によってビジネスのみならず、旅行者も徐々に増え、人的交流も活発化しています。
 更に、来年は日伯外交樹立130周年の節目の年として「日伯友好交流年」と位置付けられた他、大阪・関西万博が開催されブラジルもパビリオンを設置し、益々人的交流が拡大する見込みです。日本とブラジルで大きな新たな「道のり」が拓けることを期待して、お祝いの言葉に変えさせて頂きます。

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