本物そっくり“偽の投資アプリ”の見分け方 LINEグループなどで集団心理あおる「SNS型投資詐欺」【広島発】

全国で社会問題となっている「SNS型投資詐欺」。広島県内でも約17億円の被害が発生している。今、増えているのは“偽の投資アプリ”をダウンロードさせる手口だ。本物そっくりな偽アプリを見やぶる方法とは?

LINEグループで集団心理につけ入る

実在する人気の投資アプリのように見えるダウンロード画面。実はアプリもダウンロードサイトもすべて本物そっくりの偽物である。

偽アプリをダウンロードすると、操作できて入金したお金が増えているように見えるが、実際は投資は行われず、被害者は多額のお金をだまし取られてしまう。これは新たに登場した手口で、無料通信アプリ「LINE」などを使って投資を持ちかけるSNS型投資詐欺だ。県内でもすでに複数の被害が確認されている。どのような流れで偽アプリをダウンロードし、被害に遭ってしまうのか。

広島県警サイバー犯罪対策課の山中浩世巡査部長は「犯人は被害者とLINEのやりとりをする中で、LINEグループへの加入を指示してきます。最初からLINEグループに招待される場合もあります。このLINEグループの中で参加者は口々に『あの先生の指示に従っておけば間違いない』『今回の取引で利益が数百万円出た』とか…。この書き込みは犯人グループによるもので、集団心理を利用して被害者をだまそうとしてきます」と巧妙な手口を明かした。

実在する投資アプリそっくりな偽アプリ

被害者を投資する気にさせると、犯人グループは偽の投資アプリのダウンロードサイトにつながるリンクを送ってくる。このリンクにアクセスすると、公式のアプリストアにそっくりな偽のウェブサイトにつながる仕組みだ。

実在する海外の投資アプリとほぼ同じアイコンが使われていて、見分けるのは簡単ではない。偽アプリをダウンロードさせると、犯人グループはこのアプリを使って投資をすると言い、指定した口座に送金するよう求めてくる。

山中巡査部長は「アプリの中ではすごく利益が出ているように見えるんですけども、実際には利益が出ていないし、取引もしていない。ただ単に犯人にお金を振り込んだだけという状態になっています」と話す。

「アプリは必ず公式ストアから」

だまされてしまうポイントは、はじめに利益を手元に引き出させて本物だと信じ込ませること。その上で、さらに多額の送金をさせる。

しかし「いざその利益を出金しようとすると、税金や手数料などいろいろな名目がかかると理由をつけて出金できないと言われ、被害者は被害に遭ったんだと気づくことになります」と山中巡査部長は言う。詐欺とわかったときには後の祭り。大金が戻ってくることはない。本物そっくりなダウンロードサイトへ誘導させる巧妙な手口。偽物を見やぶる方法はあるのだろうか?

本物と偽物のダウンロード画面を見分けるポイントは主に2つあると山中巡査部長はいう。まずは、ダウンロードの進行状況を示すアイコンについてだ。iPhoneでもAndroidでも、アプリをダウンロードしている時、公式ストアでは進行状況が “円を描くように表示”される。一方、偽サイトは“横にバーが伸びるように表示”される。そして、一番の違いは、偽のウェブストアは “画面の下の部分に公式ストアには表示されないはずのURLが表示されている”というところである。

そもそも、偽アプリをダウンロードしないためにはどうすればよいのか。山中巡査部長は「アプリは必ず公式ストアから。iPhoneであればApp Store、AndroidであればGoogle Playからダウンロードして利用するようにしてください」と注意を呼びかけている。

偽の投資アプリやLINEを駆使して大金をだまし取るSNS型投資詐欺。被害に遭わないために最新の手口を知っておくことが大切である。

(テレビ新広島)

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